講演情報
[PD3-7]ロボット支援結腸癌手術における体腔内・体腔外吻合の治療成績
三代 雅明, 奥谷 浩一, 秋月 恵美, 野田 愛, 石井 雅之, 三浦 亮, 市原 もも子, 豊田 真帆, 岡本 行平, 竹政 伊知朗 (札幌医科大学消化器・総合,乳腺・内分泌外科学講座)
【はじめに】
2022年に本邦で結腸悪性腫瘍切除術に対するロボット支援手術が保険適用となった.当科では2019年より結腸癌に対するロボット支援手術を導入し,多関節鉗子による操作性の向上を考慮し,同時期に体腔内吻合も導入した.腸管の授動範囲縮小等のメリットが報告され,許容される短期成績が報告される一方で,長期成績については未だ十分なエビデンスはなく,腸管開放による播種の可能性が懸念される.当科では狭窄を伴わない前処置が可能な結腸癌に対してデルタ吻合による体腔内吻合(IA)を行っており,術中に腸管内容の漏出が懸念されるような腸管拡張を認める症例等においてはFEEAによる体腔外吻合(EA)とし,IAの適応は慎重に判断している.今回IAとEAの治療成績を比較検討したので報告する.
【方法】
大腸癌に対して当科で施行したロボット支援手術577例中,DST吻合を除くロボット支援結腸癌手術83例の治療成績を検討した.
【結果】
83例中,EA群は46例,IA群は37例であった.年齢,性別,BMI,ASA-PSは2群間で有意な差を認めなかったが,新規手術支援ロボット(hinotori, da Vinci SP, Hugo)の割合は,EA群で41.3%,IA群で13.5%(P=0.007)とEA群で高く,cStageIII-IVの割合も26.1% vs 5.4%(P=0.017)とEA群で高かった.手術時間・出血量・入院期間中央値はそれぞれ,264分vs 259分(P=0.626),5mL vs 5mL(P=0.357),8日 vs 7日(P=0.142)で有意な差を認めなかった.術後Clavien-Dindo分類3以上の合併症はEA群で腹腔内膿瘍1例,IA群で腸閉塞とイレウスを1例ずつ認めたが保存的加療で改善した.観察期間中央値は15か月と短いが,2群とも現在局所再発は認めていない.
【結語】
ロボット支援結腸癌手術におけるIAの短期成績は許容される結果であった.今後は長期成績の検討が必要である.
2022年に本邦で結腸悪性腫瘍切除術に対するロボット支援手術が保険適用となった.当科では2019年より結腸癌に対するロボット支援手術を導入し,多関節鉗子による操作性の向上を考慮し,同時期に体腔内吻合も導入した.腸管の授動範囲縮小等のメリットが報告され,許容される短期成績が報告される一方で,長期成績については未だ十分なエビデンスはなく,腸管開放による播種の可能性が懸念される.当科では狭窄を伴わない前処置が可能な結腸癌に対してデルタ吻合による体腔内吻合(IA)を行っており,術中に腸管内容の漏出が懸念されるような腸管拡張を認める症例等においてはFEEAによる体腔外吻合(EA)とし,IAの適応は慎重に判断している.今回IAとEAの治療成績を比較検討したので報告する.
【方法】
大腸癌に対して当科で施行したロボット支援手術577例中,DST吻合を除くロボット支援結腸癌手術83例の治療成績を検討した.
【結果】
83例中,EA群は46例,IA群は37例であった.年齢,性別,BMI,ASA-PSは2群間で有意な差を認めなかったが,新規手術支援ロボット(hinotori, da Vinci SP, Hugo)の割合は,EA群で41.3%,IA群で13.5%(P=0.007)とEA群で高く,cStageIII-IVの割合も26.1% vs 5.4%(P=0.017)とEA群で高かった.手術時間・出血量・入院期間中央値はそれぞれ,264分vs 259分(P=0.626),5mL vs 5mL(P=0.357),8日 vs 7日(P=0.142)で有意な差を認めなかった.術後Clavien-Dindo分類3以上の合併症はEA群で腹腔内膿瘍1例,IA群で腸閉塞とイレウスを1例ずつ認めたが保存的加療で改善した.観察期間中央値は15か月と短いが,2群とも現在局所再発は認めていない.
【結語】
ロボット支援結腸癌手術におけるIAの短期成績は許容される結果であった.今後は長期成績の検討が必要である.