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[O10-4]局所進行直腸癌に対するOxaliplatinを用いた術前化学放射線療法の治療成績

寺石 文則, 庄司 良平, 松三 雄騎, 重安 邦俊, 近藤 喜太, 藤原 俊義 (岡山大学病院消化管外科)
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【目的】局所進行直腸癌(LARC:locally advanced rectal cancer)に対するオキサリプラチンを併用した術前化学放射線療法(NACRT:neoadjuvant chemoradiotherapy)の治療成績を検証した.
【対象・方法】2011年5月から2022年5月までにNACRTを施行した31例のLARCを対象として,周術期および長期成績を明らかにした.
【結果】年齢中央値65歳(42-78),男性21例,女性10例,肛門縁から腫瘍下縁までの距離は3cm(0-6),治療前病期はcStageII 8例,cStageIII 23例であった.全例long-course RT(50.4Gy)にcapecitabine+oxaliplatinを併用し,Grade3以上の有害事象は下痢2例(6.5%)であった.低侵襲手術が27例(87.1%)で施行され,APR 12例,ISR 9例,LAR 7例,Hartmann 2例,後方骨盤内臓摘出 1例であった.C-D gradeIII以上の合併症が9例(29%)にみられ,骨盤内膿瘍6例(19.4%),イレウスと縫合不全2例(6.5%),会陰創感染と後膵動脈瘤が1例(3.2%)であった.pStage0/I/II/III 8/7/8/8例,Down-stagingが22例(71%)で得られた.組織学的治療効果はGrade3(pCR)7例(22.6%),奏効(Grade2+3)19例(61.3%)で,RM0 28例(90.3%)であった.観察期間中央値55か月で3年のoverall survival,relapse-free survival,local recurrence-free survivalはそれぞれ96.4%,72.0%,96.2%であった.再発は8例(25.8%)にみられ,肺転移7例(22.6%),局所と肝転移がそれぞれ1例(3.2%)であった.
【結論】LARCに対するオキサリプラチンを併用したNACRTは安全に完遂でき,周術期成績も許容範囲内で,pCRが22.6%で得られた.長期成績に関して,局所制御率は良好であったが,肺転移再発が多かった.