講演情報
[P5-1-5]直腸まで虚血性大腸炎を伴った下腸間膜動静脈奇形の1例
福島 正之, 森田 高行, 藤田 美芳, 岡村 圭祐, 佐藤 大介, 井上 綾乃, 渡邊 一永 (北海道消化器科病院)
【はじめに】腸間膜の動静脈奇形(arteriovenous malformation:以下,AVM)は,腹痛・下血・下痢などを来す比較的稀な疾患である.今回我々は,下腸間膜動脈領域のAVMに起因するS状結腸から上部直腸に及ぶ虚血性大腸炎を経験したので報告する.
【症例】71歳の男性.2週間前より急に下痢を認め,改善しないため当院受診.CT検査でS状結腸から上部直腸まで壁肥厚と腸間膜脂肪織の炎症性変化を認めた.動脈相で血管増生と静脈の早期描出が認められ,AVMが疑われた.AVMにより静脈圧が局所的に増加し,静脈還流不全が疑われた.下部消化管内視鏡検査で,虚血性大腸炎像を呈し下部直腸より粘膜が粗造であり,上部直腸からびらん・潰瘍があり,S状結腸は,浮腫状に狭窄していた.確定診断および治療目的に血管造影を施行した.血管造影ではIMA領域に複数箇所に動静脈奇形があった.IMVから連続するSRVが描出不良となり,内腸骨静脈に還流していた.静脈の流出障害に伴う腸管うっ血を生じていると診断した.AVMが複数箇所に及んでいて腸管血流を維持してAVMを閉塞することは,困難であり,外科的手術を施行する方針となった.直腸まで病変が進展していたため腹腔鏡下低位前方切除(TME)を施行した.腸間膜は,脂肪織の腫大・硬化を認め,腸管は著明なうっ血を認めた.病理所見では,拡張した異常血管が散見され,静脈様構造の血管の中に動脈様構造を持つ血管や吻合を示唆する異常が認められ,動静脈奇形と診断された.
【考察】虚血性大腸炎が直腸まで進展することは,稀である.また虚血性大腸炎が保存的治療で軽快しない難治性の場合,動静脈奇形による静脈還流不全が原因となることもあり,造影CTなどで血流動態の評価が必要である.
【症例】71歳の男性.2週間前より急に下痢を認め,改善しないため当院受診.CT検査でS状結腸から上部直腸まで壁肥厚と腸間膜脂肪織の炎症性変化を認めた.動脈相で血管増生と静脈の早期描出が認められ,AVMが疑われた.AVMにより静脈圧が局所的に増加し,静脈還流不全が疑われた.下部消化管内視鏡検査で,虚血性大腸炎像を呈し下部直腸より粘膜が粗造であり,上部直腸からびらん・潰瘍があり,S状結腸は,浮腫状に狭窄していた.確定診断および治療目的に血管造影を施行した.血管造影ではIMA領域に複数箇所に動静脈奇形があった.IMVから連続するSRVが描出不良となり,内腸骨静脈に還流していた.静脈の流出障害に伴う腸管うっ血を生じていると診断した.AVMが複数箇所に及んでいて腸管血流を維持してAVMを閉塞することは,困難であり,外科的手術を施行する方針となった.直腸まで病変が進展していたため腹腔鏡下低位前方切除(TME)を施行した.腸間膜は,脂肪織の腫大・硬化を認め,腸管は著明なうっ血を認めた.病理所見では,拡張した異常血管が散見され,静脈様構造の血管の中に動脈様構造を持つ血管や吻合を示唆する異常が認められ,動静脈奇形と診断された.
【考察】虚血性大腸炎が直腸まで進展することは,稀である.また虚血性大腸炎が保存的治療で軽快しない難治性の場合,動静脈奇形による静脈還流不全が原因となることもあり,造影CTなどで血流動態の評価が必要である.