講演情報

[O18-6]スコープ通過不能左側大腸癌に対する大腸ステント留置が長期予後に与える影響に関する検討

佐藤 健太郎1, 福長 洋介1, 高松 学2, 野口 竜剛1, 坂本 貴志1, 松井 信平1, 向井 俊貴1, 山口 智弘1 (1.公益財団法人がん研究会有明病院消化器センター大腸外科, 2.公益財団法人がん研究会がん研究所病理部)
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【目的】近年普及している閉塞性大腸癌に対する大腸ステント(SEMS)留置は,良好な短期成績が示されているが,長期予後に関しては依然不明な点も多く議論が分かれている.今回我々は,スコープ通過不能左側大腸癌に対する術前SEMS留置が短期および長期成績に与える影響を検討した.
【対象と方法】がん研有明病院で2012年4月から2020年8月の間に,一時的ストーマ造設を併施せず一期的切除吻合手術を行ったスコープ通過不能cT3-4NanyM0左側大腸癌(下部直腸癌を除く)121例を対象とし,SEMS留置群24例とSEMS非留置群97例の短期および長期成績を後方視的に比較検討した.
【結果】SEMS留置群と非留置群において,Clavien-Dindo 全グレード術後合併症率(8.3% vs. 25.8%,p=0.098),Grade3以上合併症率(0% vs. 11.3%,p=0.119),縫合不全率(0% vs. 2.1%,p=1)に有意差を認めなかった.長期予後に関しても,5年全生存率(100% vs. 91.5%,p=0.19),3年無再発生存率(86.5% vs. 81.3%,p=0.479)は有意差を認めず,ステージ別生存率も有意差を認めなかった.
【考察】スコープ通過不能左側大腸癌に対するSEMS留置による長期予後の悪化は明らかではなく,短期成績も良好であるため,腫瘍学的にも許容される治療戦略と考えられる.