講演情報
[PD2-4]AIを用いたTotal Navigation Surgery―ICチャットボット・手術動画タイムライン評価・手術難易度予測―
番場 嘉子1, 小川 真平1, 金子 由香1, 二木 了1, 腰野 蔵人1, 谷 公孝1, 前田 文1, 板橋 道朗2, 山口 茂樹1 (1.東京女子医科大学消化器・一般外科, 2.埼玉県済生会加須病院)
【はじめに】Total Navigation Surgery(TNS)は,人工知能AIを利用することで,患者に低侵襲で根治性の高い,最適な手術と術後管理を行うことである.今回我々は生成AIを利用したICチャットボット・AI画像認識による手術動画タイムライン評価・機械学習による手術難易度予測のシステムを構築し,今後TNSシステム評価と臨床展開の可能性について検討した.
【方法】ICチャットボット:chatGPTに大腸癌取扱い規約や大腸癌治療ガイドラインを学習させ,手術前ICの患者と家族向けの音声認識と返答のQA対応システムを構築し,精度を評価した.手術動画タイムライン評価:手術動画から鉗子・ポート・出血・腸管・ガーゼ・血管・神経など29種類を学習させ,AI物体認識モデルを作成した.手術タイムライン上に検出する物体をプロットし,手術進行工程や手技評価が可能か検討した.
手術難易度予測:直腸腸(Rb)癌216症例を対象とし,術式,手術時間,手術方法,術前放射線化学療法の有無,側方郭清の有無,BMIなどを説明変数とし,手術時間および出血量が中央値以上(1)か未満(0)かを目的変数とする分類問題を設定しAUCなどを算出した.
【結果】ICチャットボット:知識以外のことは医師に相談するように返答するように設定し,会話内でほぼ間違いは認められなかった.患者からの問いに丁寧に説明することから共感性が高いと考えられた.手術動画タイムライン評価:物体全体では感度Recall 82.7%,特異度Precision 84.1%であった.S状結腸切除や前方切除の手術動画を解析し,タイムライン表により剥離開始や血管処理,腸管切離,吻合の時間を同定可能であった.出血過多症例や剥離受動に時間を要した症例の把握が可能であった.手術難易度評価:Symbolic regressionの手術時間モデルでは,人工肛門造設・術者・手術方法・術前放射線化学療法・側方郭清が重要因子で,AUC0.825であった.出血量モデルでは,手術方法・男性・術前放射線化学療法が重要因子で,AUC0.763であった.
【結語】ICチャットボットやAI診断モデルの精度は良好であり,今後臨床展開の可能性が示唆された.
【方法】ICチャットボット:chatGPTに大腸癌取扱い規約や大腸癌治療ガイドラインを学習させ,手術前ICの患者と家族向けの音声認識と返答のQA対応システムを構築し,精度を評価した.手術動画タイムライン評価:手術動画から鉗子・ポート・出血・腸管・ガーゼ・血管・神経など29種類を学習させ,AI物体認識モデルを作成した.手術タイムライン上に検出する物体をプロットし,手術進行工程や手技評価が可能か検討した.
手術難易度予測:直腸腸(Rb)癌216症例を対象とし,術式,手術時間,手術方法,術前放射線化学療法の有無,側方郭清の有無,BMIなどを説明変数とし,手術時間および出血量が中央値以上(1)か未満(0)かを目的変数とする分類問題を設定しAUCなどを算出した.
【結果】ICチャットボット:知識以外のことは医師に相談するように返答するように設定し,会話内でほぼ間違いは認められなかった.患者からの問いに丁寧に説明することから共感性が高いと考えられた.手術動画タイムライン評価:物体全体では感度Recall 82.7%,特異度Precision 84.1%であった.S状結腸切除や前方切除の手術動画を解析し,タイムライン表により剥離開始や血管処理,腸管切離,吻合の時間を同定可能であった.出血過多症例や剥離受動に時間を要した症例の把握が可能であった.手術難易度評価:Symbolic regressionの手術時間モデルでは,人工肛門造設・術者・手術方法・術前放射線化学療法・側方郭清が重要因子で,AUC0.825であった.出血量モデルでは,手術方法・男性・術前放射線化学療法が重要因子で,AUC0.763であった.
【結語】ICチャットボットやAI診断モデルの精度は良好であり,今後臨床展開の可能性が示唆された.