講演情報
[PD8-5]大腸癌腹膜播種に対する腫瘍減量手術および腹腔内温熱化学療法の治療成績と予後規定因子の検討
森川 充洋1, 松中 喬之1, 前川 展廣1, 嶋田 通明1, 田海 統之1, 澤井 利次1, 小練 研司1, 玉木 雅人1, 村上 真1, 廣野 靖夫2, 片山 寛次3, 五井 孝憲1 (1.福井大学第一外科, 2.福井大学がん診療推進センター, 3.さくら病院)
【目的】全身化学療法の発展にも関わらず,腹膜播種はいまだ予後不良の病態である.P1,2症例では本邦でも切除が推奨されているが,P3症例では欧米の専門施設より多数の報告がある腫瘍減量手術(CRS)+腹腔内温熱化学療法(HIPEC)は本邦では実施する施設は少なく,治療の原則は全身化学療法となっている.当科におけるCRS+HIPECの治療成績と予後規定因子の検討について報告する.
【方法】対象は1990年1月~2022年12月にCRS+HIPECを施行した大腸癌腹膜播種 61例(虫垂癌は除外).同時性播種 28例,異時性播種 20例,P1/2播種切除後の播種再発(再発群)13例.予後規定因子の検討項目は,①年齢②性別③原発部位(右or左側)④組織型(高or低分化)⑤リンパ節転移⑥播種以外の遠隔転移⑦同時性or異時性or再発群⑧P分類(P1+2 or P3)⑨PCI(10未満or10以上)⑩CCS(0-1 or 2-3)⑪化学療法抵抗性(化学療法施行し増悪中に手術した症例)⑫術後合併症(CD分類III以上)とした.上記因子と全生存期間(OS)でCox比例ハザードモデルによる単変量・多変量解析を行い,予後規定因子を検索した.OSの算出はKaplan-Meier法で行い,OSの比較はLog-lank検定を用いP<0.05を有意差ありとした.
【成績】P1/P2/P3:6/12/43例,PCIの中央値:6(1-33),CCS- 0/1/2/3:40/8/10/3例.術後合併症発症率(CD分類III以上)は14.7%,手術関連死は認めなかった.単変量解析で有意な予後不良因子となったのは,左側(HR:2.536,P=0.016),P3(HR:3.099,P=0.023),PCI10以上(HR:2.375,P=0.023),CC2-3(HR:7.818,P=0.000),化学療法抵抗性あり(HR:3.401,P=0.009),術後合併症あり(HR:2.791,P=0.029)の6項目であった.その6項目で多変量解析を行うと,有意な予後不良因子はCC2-3(HR:5.871,P=0.001)であり,最も重要な因子は完全減量切除(CC0-1)を施行することと考えられた.CCS0-1とCCS2-3の5年生存率(MST)はそれぞれ46.5%(53か月),0%(12か月)で有意にCCS0-1が良好であった(P=0.000).
【結論】全身化学療法の発展に伴いHIPECの位置づけは変わってくると考えるが,CC0-1が得られたCRS+HIPECの成績は良好であり,切除可能な腹膜播種は積極的な切除により予後が改善する可能性があると考えられる.
【方法】対象は1990年1月~2022年12月にCRS+HIPECを施行した大腸癌腹膜播種 61例(虫垂癌は除外).同時性播種 28例,異時性播種 20例,P1/2播種切除後の播種再発(再発群)13例.予後規定因子の検討項目は,①年齢②性別③原発部位(右or左側)④組織型(高or低分化)⑤リンパ節転移⑥播種以外の遠隔転移⑦同時性or異時性or再発群⑧P分類(P1+2 or P3)⑨PCI(10未満or10以上)⑩CCS(0-1 or 2-3)⑪化学療法抵抗性(化学療法施行し増悪中に手術した症例)⑫術後合併症(CD分類III以上)とした.上記因子と全生存期間(OS)でCox比例ハザードモデルによる単変量・多変量解析を行い,予後規定因子を検索した.OSの算出はKaplan-Meier法で行い,OSの比較はLog-lank検定を用いP<0.05を有意差ありとした.
【成績】P1/P2/P3:6/12/43例,PCIの中央値:6(1-33),CCS- 0/1/2/3:40/8/10/3例.術後合併症発症率(CD分類III以上)は14.7%,手術関連死は認めなかった.単変量解析で有意な予後不良因子となったのは,左側(HR:2.536,P=0.016),P3(HR:3.099,P=0.023),PCI10以上(HR:2.375,P=0.023),CC2-3(HR:7.818,P=0.000),化学療法抵抗性あり(HR:3.401,P=0.009),術後合併症あり(HR:2.791,P=0.029)の6項目であった.その6項目で多変量解析を行うと,有意な予後不良因子はCC2-3(HR:5.871,P=0.001)であり,最も重要な因子は完全減量切除(CC0-1)を施行することと考えられた.CCS0-1とCCS2-3の5年生存率(MST)はそれぞれ46.5%(53か月),0%(12か月)で有意にCCS0-1が良好であった(P=0.000).
【結論】全身化学療法の発展に伴いHIPECの位置づけは変わってくると考えるが,CC0-1が得られたCRS+HIPECの成績は良好であり,切除可能な腹膜播種は積極的な切除により予後が改善する可能性があると考えられる.