講演情報

[O4-7]ロボット支援結腸切除術における体腔内吻合時のPfannenstiel切開の有用性

田中 俊道1, 山梨 高広1, 三浦 啓寿1, 柴木 俊平1, 池村 京之介1, 渡部 晃子1, 横田 和子1, 小嶌 慶太1, 横井 圭悟1, 古城 憲1, 佐藤 武郎2, 内藤 剛1 (1.北里大学医学部下部消化管外科, 2.北里大学医学部付属医学教育研究開発センター医療技術教育研究部門)
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背景:ロボット支援下腹腔鏡下結腸切除術(RALC)において,当院ではcT3以深では腫瘍学的安全性を考慮して臍部縦切開(以下,Um法)を用いた体腔外手縫い吻合を選択し,cT2以浅は体腔内器械吻合としている.体腔内吻合を行う症例ではPfannenstiel切開法(以下,Pf法)を用いている.Pfannenstiel切開法は婦人科手術で多く用いられており,整容性に優れ,腹壁瘢痕ヘルニアの発生率が低いとされている.
 目的:RALCにおけるPf法の有用性を明らかにする.
 対象:2022年6月から2024年1月の期間に,RALCでR0切除を施行した右側結腸癌32例を対象とした.
 方法:Pf法は臍部から6cm尾側の皮膚に4cm長の横切開をおき,腹直筋前鞘を横切開して前鞘と腹直筋を十分に剥離し,腹直筋を左右に圧排して後鞘と腹膜は縦切開としている.周術期短期成績(手術時間,出血量,術後在院日数,術後短期合併症発生率),術後炎症値(WBC,CRP(mg/dL)),術後疼痛(NSR,頓用鎮痛剤の使用量)について,Pf法とUm法を後方視的に比較検討した.
 結果:Pf法は18例,Um法は14例であり,両群間で年齢,性別,術前BMI値,ASA score,腫瘍占居部位,術式(回盲部切除19例,結腸右半切除13例)に差はなかった.周術期短期成績は,手術時間,出血量,術後在院日数に差はなく,腹壁瘢痕ヘルニアはUm法で1例認めたがClavien Dindo分類Iであり,発生率に有意差はなかった.術後一日目の比較(Pf法/Um法,中央値[範囲])では,頓用鎮痛剤の回数:1回[0-3]/1回[0-4],WBC:8200[6000-15200]/8900[5600-12000],CRP:3.7[1.2-8.7]/4.9[2.5-17.6]であり,いずれも両群間に有意差はなかったが,中等度以上の疼痛(NRS≧4)を認めた割合はPf法:11.1%,Um法:42.9%であり,Pf法で有意に疼痛が少なかった(p=0.04).
 結語:Pf法はUm法に比べて術後疼痛の軽減が期待される.今後も症例を集積していきたい.