講演情報
[P3-1-3]大腸癌における5-FU/Oxaliplatinの化学療法抵抗性の生物学的機序の探索
橋本 雅弘1,2, 波多 豪2, 占部 翔一朗2, 知念 良直3, 大里 祐樹1, 森本 祥悠1, 竹田 充伸2, 関戸 悠紀2, 西沢 佑次郎1, 井上 彬1, 浜部 敦史2, 荻野 崇之2, 三吉 範克2, 植村 守2, 山本 浩文2, 江口 英利2, 土岐 祐一郎2 (1.大阪急性期総合医療センター消化器外科, 2.大阪大学大学院医学系研究科外科学講座消化器外科学, 3.大手前病院消化器外科)
【背景】大腸癌における化学療法は,5-FUやOxaliplatinなどの殺細胞性抗癌剤を中心に用いられているが,耐性化が課題である.化学療法抵抗性のメカニズムの一つとして,癌幹細胞の関与が報告されているが,耐性解除に関与するターゲット遺伝子に関してはいまだ不明な点が多いのが現状である.耐性を獲得した細胞をセレクションする方法としては抗癌剤長期投与が用いられることが多く,様々な研究が進んでいる.
【目的】化学療法抵抗性大腸癌細胞株を作成し,その分子生物学的機序を明らかにする.
【対象と方法】1.大腸癌細胞株HCT116,SW480)における5-FUおよびOxaliplatinの長期曝露下で培養し,Proliferation assayを用いて抵抗性獲得の評価を行った.2.Enrichment解析を行い,化学療法抵抗性株で濃縮するPathwayを探索した.3.大腸癌幹細胞マーカー遺伝子を用いて幹細胞性を比較した.4.Public dataにおける大腸癌の化学療法検体と未治療検体由来のsingle cell RNA sequence(scRNA-seq)データを用いて幹細胞性の比較を行い,化学療法群の癌細胞において濃縮する経路の探索を行った.
【結果】5-FUおよびOxaliplatin長期曝露で培養・継代したすべての細胞株(耐性株)は,野生株と比較して薬剤濃度に依存せず有意な耐性を示した(p<0.01).HCT116とSW480における耐性株で活性化するPathwayとしては,TGFβ経路,Wntβカテニン経路,Hedgehogシグナル経路が濃縮していた.次に幹細胞マーカー遺伝子群を比較し,HCT116とSW480は,幹細胞マーカー遺伝子が,野生株と比較して高発現であった.さらにscRNA-seq解析では,大腸癌細胞において化学療法群は未治療群と比較し,幹細胞性の高い細胞の割合が高かった.また,高幹細胞性癌細胞は,TGFβ経路に関連するSMAD経路が濃縮していた.
【考察】HCT116およびSW480の細胞株における耐性株において幹細胞が関与していることが考えられたTGFβ経路,Wntβカテニン経路,Hedgehogシグナル経路は,癌幹細胞と関与する経路であると報告されている.今後,耐性株高発現遺伝子群とscRNA-seqの化学療法群高発現遺伝子群に共通する,幹細胞性と関与する遺伝子を同定し,耐性機構獲得の機序を明らかにする予定である.
【目的】化学療法抵抗性大腸癌細胞株を作成し,その分子生物学的機序を明らかにする.
【対象と方法】1.大腸癌細胞株HCT116,SW480)における5-FUおよびOxaliplatinの長期曝露下で培養し,Proliferation assayを用いて抵抗性獲得の評価を行った.2.Enrichment解析を行い,化学療法抵抗性株で濃縮するPathwayを探索した.3.大腸癌幹細胞マーカー遺伝子を用いて幹細胞性を比較した.4.Public dataにおける大腸癌の化学療法検体と未治療検体由来のsingle cell RNA sequence(scRNA-seq)データを用いて幹細胞性の比較を行い,化学療法群の癌細胞において濃縮する経路の探索を行った.
【結果】5-FUおよびOxaliplatin長期曝露で培養・継代したすべての細胞株(耐性株)は,野生株と比較して薬剤濃度に依存せず有意な耐性を示した(p<0.01).HCT116とSW480における耐性株で活性化するPathwayとしては,TGFβ経路,Wntβカテニン経路,Hedgehogシグナル経路が濃縮していた.次に幹細胞マーカー遺伝子群を比較し,HCT116とSW480は,幹細胞マーカー遺伝子が,野生株と比較して高発現であった.さらにscRNA-seq解析では,大腸癌細胞において化学療法群は未治療群と比較し,幹細胞性の高い細胞の割合が高かった.また,高幹細胞性癌細胞は,TGFβ経路に関連するSMAD経路が濃縮していた.
【考察】HCT116およびSW480の細胞株における耐性株において幹細胞が関与していることが考えられたTGFβ経路,Wntβカテニン経路,Hedgehogシグナル経路は,癌幹細胞と関与する経路であると報告されている.今後,耐性株高発現遺伝子群とscRNA-seqの化学療法群高発現遺伝子群に共通する,幹細胞性と関与する遺伝子を同定し,耐性機構獲得の機序を明らかにする予定である.