講演情報

[O4-5]腫瘍局在に応じたロボット支援下左側結腸癌手術に対するアプローチ

外岡 亨, 早田 浩明, 千葉 聡, 成島 一夫, 水藤 広, 磯崎 哲朗, 天海 博之, 桑山 直樹, 加野 将之, 鍋谷 圭宏 (千葉県がんセンター食道・胃腸外科)
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【背景】ロボット手術の結腸癌手術への適応が拡大となり,各施設で右側結腸癌に対するロボット手術は定型化が進んでいる.一方で,左側結腸癌においてはポートの配置から未だ定型化には至っていない.【目的】当科における下行結腸癌に対するロボット手術の導入時における取り組みについて考察する.【方法】当科では2022年11月よりロボット支援下結腸癌手術を導入し,2024年4月までに16例施行した.下行結腸癌に対するロボット手術を3例経験した.体位,Targeting,ポート配置,鉗子間の干渉,操作性,等について検証した.【結果】1例目はSD junction近傍の下行結腸癌で,郭清はIMA系のみでMCA系の郭清は要さなかった.体位・ポート配置は直腸癌手術に準じた上で,右上を12mmロボットポートとし,脾弯曲操作の際に1番を左上から右上に入れ替えた.IMA系の郭清時の操作性は良好であったが,脾弯曲操作においては3・4番ポート間の干渉が生じた.2例目は脾弯曲部寄りの下行結腸癌で脾弯曲部の剥離授動を要し,さらにIMA,LCA系の郭清を伴った.前半はIMA系の郭清を先行し,右下頭低位,TargetingをSD junction方向とし,ポート配置は,直腸癌の配置から左上を左下に変更した.IMA系の郭清終了後,脾弯曲方向の操作に移行する際に,頭高位への体位変換,脾弯曲方向へのTargeting変更,1・4番ポートの入れ替えを行った.体位変換等に時間を要したものの,鉗子間の干渉が少なく,良好な操作性が維持された.3例目はSD junction近傍の下行結腸癌で,郭清はIMA系のみであったが,馬蹄腎,ひだり嚢胞腎を伴っており,脾弯曲部授動を要した.右側に縦一列に1から4番ポートを並べて配置したところ,干渉は最小限であった.【結語】手術操作範囲が広範に及ぶ下行結腸癌に対するロボット支援下手術においては,手術操作領域に応じた体位変換,ポート配置を考慮することにより,良好な操作性が維持される.