講演情報

[SR3-3]当院における直腸癌に対するtaTME併用のロボット支援下手術の検討

石山 泰寛, 大和 美寿々, 芥田 荘平, 皆川 結明, 中西 彬人, 藤井 能嗣, 岡崎 直人, 石井 利昌, 平沼 知加志, 平能 康充 (埼玉医科大学国際医療センター)
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背景:直腸癌に対するロボット支援下手術は保険適応となって以来本邦では急激に増加している.しかし,ロボット支援下手術は機能的側面に関しては有用である報告はある.しかし,その他の項目に関しては腹腔鏡下手術と比較し明らかなメリットがないのが現状である.当院では低位の直腸癌に対してはtaTME併用のロボット支援下手術を行っているので短期成績と手術手技を報告する.
 手術手技:手術手技:(ロボット支援下手術)臍切開にて小開腹を行いEZアクセスを装着する.8mmポートを3本留置,助手用ポート(5mm)を1本留置し手術を行う.型どおりTMEを行い,腹膜反転部を切開し精嚢の背側まで剥離する.背側はS3,4レベルで肛門チームと交通する.
 経肛門操作:腫瘍から2cmマージンを確保しマーキングする.Purse string sutureを行い粘膜切開し縦走筋を露出する.直腸後壁は壁側骨盤筋膜をメルクマールに切開する,直腸前壁は前立腺に留意しながら切開を行い,腹膜反転部で経腹操作と交通し直腸を摘出する.再建は切離断端の直腸粘膜をたばこ縫合しSST(single stapler technique)で行う.
 対象と方法:2022年4月から2024年3月までに当院で直腸癌に対してtaTME併用で手術を施行した98例を対象とした.内訳はロボット支援下手術は26例と腹腔鏡下手術72例であった.ロボット群(Ro)と腹腔鏡下手術群(Lap)にわけて患者背景,術後成績を比較検討した.
 結果
 年齢,性別,BMI,ASA,術前治療の有無,開腹既往歴などの患者背景は両群間で有意差はなかった.手術時間,出血量,術後在院日数は両群間で有意差はなかった(Ro vs Lap:282 min vs 247 min,15ml vs 15 ml,10 day vs 11day).CD>2の術後合併症は両群間で有意差はなかった.(Ro vs Lap:腹腔内膿瘍 0% vs 2.78%,Outlet obstruction 7.69% vs 2.78%,排尿障害 0% vs 1.39%)
 病理学的所見は病期分類,リンパ節個数,口側断端距離,肛門側断端距離と両群間で有意差はなかった.
 結語
 当院におけるtaTMEを併用した直腸癌に対する手術成績を報告した.直腸癌に対するtaTME併用のロボット支援下手術は安全に行えている.今後も症例蓄積し検討を重ねていく必要がある.