講演情報
[SR2-1]当院のロボット支援下結腸癌手術における吻合法の現状と課題
小井土 耕平, 櫻庭 駿介, 中村 和正, 大島 健志, 間 浩之, 大端 考 (静岡県立総合病院消化器外科)
【目的】2022年度より結腸癌に対するロボット支援手術が保険適応となり,当科でも積極的にロボット支援手術を施行している.当科におけるロボット支援下結腸癌手術の吻合法について検討し,有用性と課題を明らかにする.【対象】2022年4月から2024年3月に結腸(盲腸~下行結腸)癌に対しロボット支援下手術(Da Vinci Xiまたはhinotori™使用)を施行した118例.【吻合法】Overlap法による体腔内吻合(IA)を基本とし,機械的腸管前処置が施行できない症例やenergy deviceの使用できないhinotori™使用例,ヨードアレルギーでICG蛍光法が施行できない症例はFEEA法による体腔外吻合(EA)を選択している.【結果】IA群:61例,EA群:57例.年齢中央値はIA群/EA群:70/72歳(p=0.24),性別はIA群:男性/女性=27/34例,EA群:27/30例(p=0.85),BMIはIA群/EA群:23.3/22.5(p=0.24)で患者背景に有意差を認めなかった.腫瘍占居部位はIA群:C/A/T/D=6/33/18/4例,EA群:10/24/19/4例(p=0.51),深達度cTはIA群:T1/T2/T3/T4=17/8/31/5例,EA群:7/12/29/9例(p=0.15).施行術式はIA群:回盲部切除/結腸右半切除/結腸左半切除/結腸部分切除=16/35/6/4例,EA群:21/18/5/13例(p<0.05).手術時間はIA群/EA群:201/184分(p<0.05),出血量は両群共に0ml(p=0.48),小開腹創の大きさはIA群/EA群:4/5cm(p<0.05).Clavien-Dindo分類≧IIの合併症で麻痺性イレウスをIA群/EA群:6/3例(p=0.50)で認めた.術後在院日数は両群共に6日(p=0.86)であった.病理結果でpDMはIA群/EA群:95/75mm(p<0.05)であった.EA群の内訳は,前処置不可症例:19例,hinotori™使用例:22例,ヨードアレルギー症例:3例,部分切除で吻合部が創直下であった症例:8例,前処置不良でEA切り替えた症例:2例,吻合に緊張がかかるためEA切り替えた症例:1例,その他:2例であった.【結語】IAは小さな創で手術が施行でき,十分な肛門側切離長を確保できるメリットがある.一方で,手術時間が長く,適応症例が限られるデメリットがある.今後さらに症例を蓄積し,至適症例の追求や長期成績についても検討が必要である.