講演情報

[SR1-2]右側結腸癌に対するロボット支援下手術導入の短期成績

矢野 琢也1, 下村 学1, 奥田 浩1, 赤羽 慎太郎1, 望月 哲矢1, 今岡 洸輝1, 別木 智昭1, 石川 聖1, 佐藤 沙希1, 渡邊 淳弘1, 森内 俊行1, 服部 稔2, 大段 秀樹1 (1.広島大学消化器・移植外科学, 2.広島大学医学部附属医学教育センター)
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【はじめに】当院ではロボット支援下手術を2010年7月から直腸で開始し,結腸は2022年4月保険収載後開始している.右側結腸に対するロボット支援下手術の定型化と現状について腹腔鏡手術と比較して報告する.
 【対象と方法】2016年10月から2024年3月の右側結腸手術(再発・開腹・他部位同時手術を除く)を対象とし,ロボット支援下手術群(R群)と腹腔鏡下手術群(L群)で検討した.当院は後腹膜剥離先行アプローチを基本とし,patient cartを患者左側からドッキングし,ポート間距離確保のため右下腹部から左上腹部に弧状にポート配置する.3・4番アームの間に助手用ポートを挿入し,助手と連携した術野展開を行っている.頭低位として後腹膜剥離先行アプローチで右側結腸を授動し,電気メス設定をlow voltageとして血管処理とSurgical trunkの郭清を行う.最後に頭低位のまま頭側剥離を行い右側結腸の授動を完了する.吻合は体腔内デルタ吻合または体外で機能的端々吻合で行っている.
 【結果】
 R群28例,L群147例で,性別(男:女)はR群15例:13例,L群70例:77例,年齢中央値はR群70歳,L群72歳,術式は回盲部切除/右結腸切除/結腸右半切除/拡大結腸右半切除でR群20/1/7/0例,L群103/9/32/3例であった.手術時間中央値はR群259分,L群212分で有意にR群が長く,出血量中央値はR群20ml,L群35mlで有意にL群が多かった.吻合方法はR群で機能的端々吻合12例,体腔内デルタ吻合16例で,L群で機能的端々吻合63例,体腔内デルタ吻合2例,体腔外デルタ吻合4例,手縫い吻合78例であった.開腹移行はR群0例,L群7例(4.7%)で,全合併症はR群7例(25.0%),L群19例(12.9%)で,R群の合併症は体腔内デルタ吻合の吻合部出血3例と縫合不全1例の他,腹水1例,肺炎1例と心不全1例で全てGradeIIで,Cavien-dindo Grade3以上はR群0例,L群5例(3.4%:腸閉塞2例,SSI1例,吻合部出血1例,胃潰瘍出血1例)であった.
 【結語】
 右側結腸に対するロボット支援下手術は腹腔鏡と比べて出血量は少ないが手術時間は長かった.体腔内吻合で吻合部出血と縫合不全を経験したがロボット支援下手術特有の合併症はなく,ロボット支援下右側結腸手術は安全に施行にできていると考える.