講演情報
[O22-2]市中病院におけるロボット支援右側結腸癌手術の導入,若手術者の初期経験と短期成績
山本 健人, 福田 明輝, 溝上 優美, 薬師川 高明, 中能 玲央, 大下 恵樹, 久野 晃路, 仲野 健三, 河合 隆之, 奥知 慶久, 井口 公太, 田中 英治, 寺嶋 宏明, 田浦 康二朗 (田附興風会医学研究所北野病院消化器外科)
【背景】
当院では2019年にロボット支援下直腸癌手術を導入し,2023年に結腸癌へ適応を拡大,現在20例にロボット支援下結腸癌手術を施行した.術者基準については,内視鏡外科技術認定医資格の有無によらず,プロクターの指導のもと若手外科医がほぼ全例執刀を行うこととしている.
本発表では,膵十二指腸周辺やsurgical trunk周囲の郭清に慎重な操作を要する右側結腸癌手術に焦点を当て,その成績を報告する.当院ではかねてより,右側結腸癌に対しては頭側アプローチ先行の腹腔鏡手術を行ってきたため,その手技の違いについても議論したい.
【対象と方法】
ポート配置については,臍に小切開をおいてカメラポートを挿入し,肝弯曲部でターゲッティングを行い,右手2本,左手1本をパラボラアンテナ状に配置する.1番アームはfenestrated bipolar,3番はmonopolar scissors,4番はtip-up fenestrated grasperとし,Maryland bipolarやシーリングデバイスは用いない.
まず頭低位として回盲部背側の癒着の有無を確認し,癒着があれば可及的に剥離を行い,ある程度授動を行っておく.続いて水平位とし,大網を切離して網嚢を開放,右胃大網静脈(RGEV)をメルクマールに横行結腸間膜をtake downする.RGEV,上前膵十二指腸静脈の分岐を確認,温存し副右結腸静脈を根部で切離する.膵頭部,十二指腸水平脚を確認し,そのまま尾側まで授動して右側結腸の全脱転を終える.そののち,腫瘍部位に応じて郭清操作を行う.郭清操作では,左右の関節機能を十分に活かし,適切な方向にテンションをかけることで,monopolar scissorsのみでスムーズな郭清が可能になると考えている.
【結果】
これまでに,肝弯曲授動を伴うロボット支援下右側結腸癌手術を9例に行った.女性6例,男性3例,平均年齢69歳,腫瘍の局在は,盲腸3例,上行結腸4例,横行結腸2例.手術時間は282分,出血量は12ml,郭清リンパ節個数は13(7-33)個であった(いずれも中央値).術後合併症は1例に誤嚥性肺炎を認めたのみで,術後在院日数中央値は9日であった.
【結語】
右側結腸癌に対するロボット支援下手術の短期成績は腹腔鏡手術と遜色なく,安全に導入できたと考える.
当院では2019年にロボット支援下直腸癌手術を導入し,2023年に結腸癌へ適応を拡大,現在20例にロボット支援下結腸癌手術を施行した.術者基準については,内視鏡外科技術認定医資格の有無によらず,プロクターの指導のもと若手外科医がほぼ全例執刀を行うこととしている.
本発表では,膵十二指腸周辺やsurgical trunk周囲の郭清に慎重な操作を要する右側結腸癌手術に焦点を当て,その成績を報告する.当院ではかねてより,右側結腸癌に対しては頭側アプローチ先行の腹腔鏡手術を行ってきたため,その手技の違いについても議論したい.
【対象と方法】
ポート配置については,臍に小切開をおいてカメラポートを挿入し,肝弯曲部でターゲッティングを行い,右手2本,左手1本をパラボラアンテナ状に配置する.1番アームはfenestrated bipolar,3番はmonopolar scissors,4番はtip-up fenestrated grasperとし,Maryland bipolarやシーリングデバイスは用いない.
まず頭低位として回盲部背側の癒着の有無を確認し,癒着があれば可及的に剥離を行い,ある程度授動を行っておく.続いて水平位とし,大網を切離して網嚢を開放,右胃大網静脈(RGEV)をメルクマールに横行結腸間膜をtake downする.RGEV,上前膵十二指腸静脈の分岐を確認,温存し副右結腸静脈を根部で切離する.膵頭部,十二指腸水平脚を確認し,そのまま尾側まで授動して右側結腸の全脱転を終える.そののち,腫瘍部位に応じて郭清操作を行う.郭清操作では,左右の関節機能を十分に活かし,適切な方向にテンションをかけることで,monopolar scissorsのみでスムーズな郭清が可能になると考えている.
【結果】
これまでに,肝弯曲授動を伴うロボット支援下右側結腸癌手術を9例に行った.女性6例,男性3例,平均年齢69歳,腫瘍の局在は,盲腸3例,上行結腸4例,横行結腸2例.手術時間は282分,出血量は12ml,郭清リンパ節個数は13(7-33)個であった(いずれも中央値).術後合併症は1例に誤嚥性肺炎を認めたのみで,術後在院日数中央値は9日であった.
【結語】
右側結腸癌に対するロボット支援下手術の短期成績は腹腔鏡手術と遜色なく,安全に導入できたと考える.