講演情報

[R6-2]クローン病における術中内視鏡の有用性

佛坂 正幸, 金丸 幹郎, 樋口 茂輝, 新名 一郎, 根本 学, 宮崎 康幸, 黒木 直哉, 岩村 威志 (潤和会記念病院外科)
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【はじめに】当院ではクローン病腸管病変手術時に積極的に術中内視鏡を行っている.今回その有用性について検討した.【方法】クローン病腸管病変に対して手術施行した症例は68例(81手術)であり,52例で術中内視鏡(狭窄評価目的:49例,小腸病変の有無確認目的:3例)(開腹手術:18例,腹腔鏡補助下手術:34例)を施行した.指診・触診による狭窄の程度は,なし・軽度(非全周性)・中等度(全周性・内視鏡通過可能程度)・高度(全周性・内視鏡非通過程度)と評価し,内視鏡的狭窄の程度の判断は高度:15 mm以下(内視鏡が通過しない狭窄),中等度:径 15 mm ~ 25 mm,軽度:径 25 mm以上とし,視診・触診による評価と内視鏡による評価を比較した.さらに活動性潰瘍の有無についても観察した.【結果】狭窄評価目的49例では開腹時の小腸長さは293±84cm(平均±標準偏差)であり,トライツ靭帯より105±85cmの位置より,163±85cmを観察した.141ヵ所(1例あたり2.8±2.7ヵ所)の狭窄があり,120ヵ所(同2.6±1.9ヵ所)の評価を行った.視診・触診による評価と内視鏡による評価は91ヵ所で一致し,18ヵ所で一致しなかった.一致しなかった18ヵ所の内訳は指診・触診で高度71ヵ所:内視鏡で軽度1ヵ所,指診・触診で中等度14ヵ所:内視鏡で高度1ヵ所,軽度1ヵ所,指診・触診で軽度15ヵ所:内視鏡で高度1ヵ所,中等度5ヵ所,指診・触診で,なし18ヵ所:内視鏡で高度6ヵ所,軽度2ヵ所であった.指診・触診でなしと判断し,内視鏡で高度狭窄がみられた病変は4症例にあり,5ヵ所はcreeping fatや瘢痕性の病変はないものの,内視鏡で膜状で柔らかいpin hole状の狭窄があった.1ヵ所は術前検査では狭窄はないと判断され,触診上は狭窄はないと判断したBauhin弁であった.【結語】クローン病では指診触診では軽度ないしは中等度と判断した病変の中に術中内視鏡では高度狭窄がみられた病変があり,狭窄状況の正確な把握に有用である.また,視診・触診では把握できない高度狭窄があることを念頭に置くべきである.