講演情報
[P7-1-2]大腸全摘回腸嚢肛門吻合,一時的回腸人工肛門造設術後の腎機能の変化
二木 了, 小川 真平, 谷 公孝, 前田 文, 腰野 蔵人, 金子 由香, 番場 嘉子, 板橋 道朗, 山口 茂樹 (東京女子医科大学消化器・一般外科)
(背景)潰瘍性大腸炎(Ulcerative Colitis,UC)の標準術式は大腸全摘,回腸嚢肛門(管)吻合術(IPAA:Ileal pouch anastomosis)で,一時的に回腸人工肛門を造設することがある.回腸人工肛門による腎機能低下が報告されているがIPAA後の報告は少ない.
(方法)2003年6月から2020年10月までに潰瘍性大腸炎に対して1期目に大腸全摘,回腸嚢肛門吻合術または回腸嚢肛門管吻合術,一時的回腸人工肛門造設術を行い,2期目に回腸人工肛門閉鎖術を行った108例を対象とした.1期目手術時から回腸人工肛門閉鎖時にeGFRが30 ml/min/1.73m2以上の低下を腎機能低下と定義した.腎機能が低下した群(低下群)と低下しない群(非低下群)の2群にわけて危険因子を検討した.
(結果)腎機能低下群は18例,非低下群は90例であった.全症例のeGFRは1期目手術時90.1 ml/min/1.73m2が回腸人工肛門閉鎖時は84.3 ml/min/1.73m2に低下した.回腸人工肛門閉鎖までの期間は中央値151日(32-1221日)であった.単変量解析では重症(p=0.0154),開腹手術(p=0.003),術中出血量(p=0.004),緊急手術(p=0.009),回腸人工肛門閉鎖までの期間(p=0.008)が因子であった.多変量解析では回腸人工肛門閉鎖までの期間196日以上(Odds比:4.995(95%CI:1.451-17.201,p=0.011)),術中出血量192g以上(Odds比:3.724(95%CI:1.037-13.377,p=0.044))が独立した危険因子であった.
(結語)IPAA,一時的回腸人工肛門造設症例において人工肛門閉鎖までにeGFRは低下した.eGFRが30 ml/min/1.73m2以上低下する因子は術中出血量,回腸人工肛門閉鎖までの期間であった.IPAA術後の腎機能低下を予防するためには術中出血量に留意し,回腸人工肛門閉鎖までの期間短縮を考慮する必要がある.
(方法)2003年6月から2020年10月までに潰瘍性大腸炎に対して1期目に大腸全摘,回腸嚢肛門吻合術または回腸嚢肛門管吻合術,一時的回腸人工肛門造設術を行い,2期目に回腸人工肛門閉鎖術を行った108例を対象とした.1期目手術時から回腸人工肛門閉鎖時にeGFRが30 ml/min/1.73m2以上の低下を腎機能低下と定義した.腎機能が低下した群(低下群)と低下しない群(非低下群)の2群にわけて危険因子を検討した.
(結果)腎機能低下群は18例,非低下群は90例であった.全症例のeGFRは1期目手術時90.1 ml/min/1.73m2が回腸人工肛門閉鎖時は84.3 ml/min/1.73m2に低下した.回腸人工肛門閉鎖までの期間は中央値151日(32-1221日)であった.単変量解析では重症(p=0.0154),開腹手術(p=0.003),術中出血量(p=0.004),緊急手術(p=0.009),回腸人工肛門閉鎖までの期間(p=0.008)が因子であった.多変量解析では回腸人工肛門閉鎖までの期間196日以上(Odds比:4.995(95%CI:1.451-17.201,p=0.011)),術中出血量192g以上(Odds比:3.724(95%CI:1.037-13.377,p=0.044))が独立した危険因子であった.
(結語)IPAA,一時的回腸人工肛門造設症例において人工肛門閉鎖までにeGFRは低下した.eGFRが30 ml/min/1.73m2以上低下する因子は術中出血量,回腸人工肛門閉鎖までの期間であった.IPAA術後の腎機能低下を予防するためには術中出血量に留意し,回腸人工肛門閉鎖までの期間短縮を考慮する必要がある.