講演情報
[PD3-3]結腸癌手術における体腔内吻合の工夫と短期・中期成績
板谷 喜朗, 肥田 侯矢, 岡村 亮輔, 星野 伸晃, 前川 久継, 小濵 和貴 (京都大学消化管外科)
【背景】結腸癌手術における手術支援ロボットの保険収載も相まって,結腸癌に対する体腔内吻合を伴う完全腹腔鏡下手術が広まっている.特にロボットによる多関節機能は鉗子角度の制限なく標的にアプローチできるメリットから体腔内吻合の難易度が軽減されることが期待できる.体腔内吻合は腸管授動範囲を必要最低限にでき,術後腸管蠕動回復が早いとされる一方,前処置を含む周術期管理のピットフォールや,高難易度の手技,癌としての予後などまだまだ課題も多い.当科では縫合結紮は行わず共通孔をステイプラーで閉鎖する“四発法”で良好な短期成績を報告してきた.本発表では中期成績を含めて報告する.
【手技の工夫】術野汚染を避けるため全例で機械的+化学的前処置を行っている.術前腸閉塞を認める症例には,ステントによる閉塞解除の後に手術を行うことを原則としている.機械的前処置では浸透圧性下剤は使用せず,刺激性下剤のみを用いて,液状便が吻合の際に漏出することが無い様にしている.共通孔は鉗子ですぐさま閉鎖し,糸針を用いた縫合は行わず速やかにステイプラーで共通孔を閉鎖し,切り飛ばした組織はプラスティックバックで回収し術野汚染を防ぐ工夫をしている.吻合方法には特にこだわっていない.
【方法】2017年から2023年3月まで,465例の結腸癌手術を行った.Stage IV,DST吻合,Hartmann手術,他癌合併手術,緊急手術を除く241例(体腔内吻合[inctracorporeal anastomosis,ICA]74例,体外吻合167[extracorporeal anastomosis,ECA]例)の短期成績,中期成績を解析した.
【結果】ICAとECAで年齢,性別,術式(右/左)には差が無かったが,ICAでは進行度の低い症例が多く,ロボット支援手術の割合も高かった.ICAでは手術時間が短く(195分対235分),Clavien-Dindo 2以上の合併症は少なかった(8%対23%).観察期間中央値36ヶ月時点では,ステージごとののrelapse-free survivalをKaplan-Meier法によるlog rankテストでは,ステージ2,3はそれぞれ0.18,0.13と有意差を認めなかった.
【結語】当科で行っている四発法によるICAは手術時間の短縮に寄与する.癌の中期予後はECAと遜色ないが,今後さらなる長期観察が必要である.
【手技の工夫】術野汚染を避けるため全例で機械的+化学的前処置を行っている.術前腸閉塞を認める症例には,ステントによる閉塞解除の後に手術を行うことを原則としている.機械的前処置では浸透圧性下剤は使用せず,刺激性下剤のみを用いて,液状便が吻合の際に漏出することが無い様にしている.共通孔は鉗子ですぐさま閉鎖し,糸針を用いた縫合は行わず速やかにステイプラーで共通孔を閉鎖し,切り飛ばした組織はプラスティックバックで回収し術野汚染を防ぐ工夫をしている.吻合方法には特にこだわっていない.
【方法】2017年から2023年3月まで,465例の結腸癌手術を行った.Stage IV,DST吻合,Hartmann手術,他癌合併手術,緊急手術を除く241例(体腔内吻合[inctracorporeal anastomosis,ICA]74例,体外吻合167[extracorporeal anastomosis,ECA]例)の短期成績,中期成績を解析した.
【結果】ICAとECAで年齢,性別,術式(右/左)には差が無かったが,ICAでは進行度の低い症例が多く,ロボット支援手術の割合も高かった.ICAでは手術時間が短く(195分対235分),Clavien-Dindo 2以上の合併症は少なかった(8%対23%).観察期間中央値36ヶ月時点では,ステージごとののrelapse-free survivalをKaplan-Meier法によるlog rankテストでは,ステージ2,3はそれぞれ0.18,0.13と有意差を認めなかった.
【結語】当科で行っている四発法によるICAは手術時間の短縮に寄与する.癌の中期予後はECAと遜色ないが,今後さらなる長期観察が必要である.