講演情報
[O16-1]当科におけるストーマ脱予防のための工夫
栃木 透, 大平 学, 岡田 晃一郎, 平田 篤史, 松原 久裕 (千葉大学大学院先端応用外科)
【背景】ストーマに関わる合併症としてしばしば経験するものの一つがストーマ脱である.特に,横行結腸双孔式ストーマを造設した際に頻度が高く,患者のQOLを大きく損なうこととなる.保存的に改善することは少ないため,管理に難渋する場合には外科的治療の適応となる.ストーマ脱の原因としてはストーマ孔の開大や腹壁とストーマとの過大な間隙,腹壁への固定不良などが考えられてはいるものの,予防方法は未だ確立されたものはない.当科でも横行結腸双孔式ストーマを造設した際にストーマ脱を多く経験したため,筋膜との縫合固定の方法を工夫し予防策を講じてきた.
【目的】ストーマ造設時の工夫がストーマ脱の予防に寄与しているか検討する.
【方法】
対象は2019年1月から2023年12月までに当科にて双孔式横行結腸ストーマを造設した120例である.2019年1月から2022年1月までは特に予防策は講じず,旧来の造設方法である.つまり,挙上腸管と筋膜との固定は吸収糸を用いた4針である.その後,ストーマ脱予防として2022年1月より筋膜との固定を非吸収糸での8針固定とした.しかし,それでもなおストーマ孔の開大によるストーマ脱例が認められた.2023年1月からは筋膜を非吸収糸による篝縫いで縫縮したうえで,腸管と筋膜との固定を吸収糸での4針とした.予防策なしのI期82例,8針固定を行ったII期27例,篝縫いを施行したIII期11例の3群に分け比較し,ストーマ脱の発生頻度を検討した.
【結果】
全症例の観察期間中央値は225.5日であった.3群の間で年齢,性別,BMI,術前の通過障害の有無,ストーマの造設位置などの臨床所見に差はなかった.ストーマ脱の発生頻度はI期で18例(22.0%),II期で4例(14.8%),III期で1例(9.1%)であった.
【考察】
症例数が少なく観察期間も短いため統計学的な有意差はみられないが,発生数は減少しておりストーマ脱予防の一助となる可能性があると考えている.本法は既存の方法に一手間加えるだけの簡便なものであり,今後も検討を重ねていく.
【目的】ストーマ造設時の工夫がストーマ脱の予防に寄与しているか検討する.
【方法】
対象は2019年1月から2023年12月までに当科にて双孔式横行結腸ストーマを造設した120例である.2019年1月から2022年1月までは特に予防策は講じず,旧来の造設方法である.つまり,挙上腸管と筋膜との固定は吸収糸を用いた4針である.その後,ストーマ脱予防として2022年1月より筋膜との固定を非吸収糸での8針固定とした.しかし,それでもなおストーマ孔の開大によるストーマ脱例が認められた.2023年1月からは筋膜を非吸収糸による篝縫いで縫縮したうえで,腸管と筋膜との固定を吸収糸での4針とした.予防策なしのI期82例,8針固定を行ったII期27例,篝縫いを施行したIII期11例の3群に分け比較し,ストーマ脱の発生頻度を検討した.
【結果】
全症例の観察期間中央値は225.5日であった.3群の間で年齢,性別,BMI,術前の通過障害の有無,ストーマの造設位置などの臨床所見に差はなかった.ストーマ脱の発生頻度はI期で18例(22.0%),II期で4例(14.8%),III期で1例(9.1%)であった.
【考察】
症例数が少なく観察期間も短いため統計学的な有意差はみられないが,発生数は減少しておりストーマ脱予防の一助となる可能性があると考えている.本法は既存の方法に一手間加えるだけの簡便なものであり,今後も検討を重ねていく.