講演情報

[P2-2-4]当科における超高齢者大腸癌の検討

植嶋 千尋, 原 和志, 永井 聡, 渡部 裕志, 高橋 節, 栗栖 泰郎 (国立病院機構浜田医療センター)
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【はじめに】大腸癌罹患数の増加,平均寿命の延長に伴い,90歳以上の超高齢者大腸癌患者も増加している.当院での超高齢者大腸癌について検討した.
 【対象】2011年4月から2023年12月に当院で大腸癌切除術を施行した90歳以上の大腸癌患者35例について患者背景や周術期成績について後方視的に検討した.
 【結果】年齢は90-98歳で,男性12人,女性23人,BMIの中央値は20.5であった.19例(54%)が介護・支援を必要とし,チャールソン併存疾患指数High以上は4例(11%),PNI40以下が19例(54%)であった.検診発見例はなく,32例(91%)が閉塞・出血などの有症状で発見されていた.腫瘍局在は,盲腸3例,上行結腸13例,横行結腸2例,下行結腸3例,S状結腸8例,直腸RS2例,直腸Ra2例,直腸Rb2例であった.術式は腹腔鏡手術21例(60%),開腹手術12例(34%),開腹移行2例(6%)であり,手術時間は95-572分(中央値245分),出血は5-900ml(中央値60ml)であった.直腸Rbを除く左側大腸では15例中6例(40%)が永久ストーマであった.病期はStage Iが3例(9%),Stage IIが17例(49%),Stage IIIが11例(31%),StageIVが4例(11%)であった.D3郭清かつ郭清リンパ節12個以上は16例(46%)で,Stage IVを除いてR0切除は27例(87%)であった.術後合併症はClavien-Dindo分類Grade2が7例,Grade3が2例,Grade4以上は認めなかった.術後在院日数の中央値は26日(10-86日),元の居住への退院患者は28例(80%),15例(43%)では当院でフォロー継続していた.初診時StageIVも含め術前・術後の化学療法施行例はなく,再発を認めた9例中7例は再発後も無治療であった.
 【結語】90歳以上の超高齢者に対しても安全に手術が施行されていたが,在院日数の長期化や元の居住への退院困難を認めた.超高齢者に対する大腸癌手術は,慎重な術後管理が必要であり,個々の症例に応じて治療方針を決定することが重要である.