講演情報
[PD9-5]難治性潰瘍性大腸炎に対するウステキヌマブの有効性と無効中止後の予後の解析
伊藤 貴博, ム チル, 小田切 信介, 前本 篤男 (札幌東徳洲会病院IBDセンター)
【背景と目的】ウステキヌマブ(UST)は生物学的製剤およびJAK阻害剤(いわゆるAdvanced therapy;ADT)ナイーブ潰瘍性大腸炎(UC)患者のみならず既使用患者にも比較的有効性を発揮することが実臨床でわかってきた.ADT使用歴とUSTの継続率の関連性やUST無効中止となった患者の次のADTの有効性を検討した.
【対象】2020年3月から2023年12月までに当科でUSTを導入したUC患者71名.
【方法】診療録から臨床データを収集し後方視的に以下の項目を検討した.(a)主要評価項目:UST継続率,(b)副次評価項目:UST導入前のADT使用薬剤数別の継続率,UST無効終了後の次のADTの継続率と薬剤別の継続率の比較
【結果】
(1)患者背景:UST導入時の平均年齢42歳,罹病期間90か月,全大腸炎型60名,左側大腸炎型9名,直腸炎型2名,慢性持続型12名,再燃寛解型57名,初回発作型2名,ADTナイーブ31名,ADT2剤以上既使用17名,5-ASA併用49名,チオプリン併用27名,CAI(Rachmilewitz)平均5.5点,CRP 0.8mg/dL,LRG21.7(μg/mL),MES(Mayo内視鏡サブスコア)3点は23名.
(2)UST継続率:1年89%,2年77%,3年72%(平均観察期間:99週)
(3)ADTナイーブと既使用患者でUST継続率に差はなかった(log-rank,p=0.174).ADTナイーブ,1剤既使用,2剤既使用の比較でも継続率に差はなかった(log-rank,p=0.139).一方,2クラス(MoA)以上ADT既使用患者のUST継続率は,1クラス既使用患者やADTナイーブ患者と比較して有意に継続率が低かった(log-rank,p<0.01).すなわちUSTの継続率は過去のADT使用数よりも使用クラス数に影響されると考えられた.
(4)UST無効中止後,観察期間内に別のADTに移行した患者は16名で,JAK阻害剤を13名,抗TNF製剤を2名,ベドリズマブを1名に使用していた.JAK阻害剤3剤間での継続率に差は認めなかったが,USTが一次無効であった患者(6名)に限ると,その後のJAK阻害剤はウパダシチニブがトファシチニブおよびフィルゴチニブと比較し有意に継続率が低かった(log-rank,p=0.02).
【結論】UCに対するUSTの継続率は,過去のADT使用クラス数に影響されていた.UST無効中止後の薬剤は今のところJAK阻害剤を使用することが多いが,USTが一次無効だったかどうかで反応性に差が出る可能性がある.
【対象】2020年3月から2023年12月までに当科でUSTを導入したUC患者71名.
【方法】診療録から臨床データを収集し後方視的に以下の項目を検討した.(a)主要評価項目:UST継続率,(b)副次評価項目:UST導入前のADT使用薬剤数別の継続率,UST無効終了後の次のADTの継続率と薬剤別の継続率の比較
【結果】
(1)患者背景:UST導入時の平均年齢42歳,罹病期間90か月,全大腸炎型60名,左側大腸炎型9名,直腸炎型2名,慢性持続型12名,再燃寛解型57名,初回発作型2名,ADTナイーブ31名,ADT2剤以上既使用17名,5-ASA併用49名,チオプリン併用27名,CAI(Rachmilewitz)平均5.5点,CRP 0.8mg/dL,LRG21.7(μg/mL),MES(Mayo内視鏡サブスコア)3点は23名.
(2)UST継続率:1年89%,2年77%,3年72%(平均観察期間:99週)
(3)ADTナイーブと既使用患者でUST継続率に差はなかった(log-rank,p=0.174).ADTナイーブ,1剤既使用,2剤既使用の比較でも継続率に差はなかった(log-rank,p=0.139).一方,2クラス(MoA)以上ADT既使用患者のUST継続率は,1クラス既使用患者やADTナイーブ患者と比較して有意に継続率が低かった(log-rank,p<0.01).すなわちUSTの継続率は過去のADT使用数よりも使用クラス数に影響されると考えられた.
(4)UST無効中止後,観察期間内に別のADTに移行した患者は16名で,JAK阻害剤を13名,抗TNF製剤を2名,ベドリズマブを1名に使用していた.JAK阻害剤3剤間での継続率に差は認めなかったが,USTが一次無効であった患者(6名)に限ると,その後のJAK阻害剤はウパダシチニブがトファシチニブおよびフィルゴチニブと比較し有意に継続率が低かった(log-rank,p=0.02).
【結論】UCに対するUSTの継続率は,過去のADT使用クラス数に影響されていた.UST無効中止後の薬剤は今のところJAK阻害剤を使用することが多いが,USTが一次無効だったかどうかで反応性に差が出る可能性がある.