講演情報
[P22-1-4]仙骨前類表皮嚢胞再発に対し腹腔鏡下で剥離し傍仙骨的に切除した一例
川原 聖佳子, 西村 淳, 長谷川 潤, 平井 裕美子 (長岡中央綜合病院消化器病センター外科)
【はじめに】外胚葉組織の陥入により生じる類表皮嚢胞は良性だが,切除後の遺残があると再発する.まれに癌合併例も報告されており手術で完全に切除することが望ましいが,病変への到達方法について定まったものはない.今回,開腹手術1回と傍仙骨的手術2回の既往がある仙骨前類表皮嚢胞再発例に対して腹腔鏡下で剥離し傍仙骨的に摘出した一例を経験した.
【症例】70代,女性
【主訴】臀部腫瘤
【経過】20年10ヶ月前,骨盤内直腸右側に接する10cm大の後腹膜嚢腫に対して,婦人科で開腹手術.婦人科的臓器は異常なく,嚢胞壁を部分切除し緑褐色内容液365mlを吸引してドレナージした.病理で子宮内膜症や悪性の所見はなし.
初回手術から5年後と,2回目手術から4年2ヶ月後,仙骨前面に嚢胞再発があり当科で傍仙骨的に内容物掻爬.病理で類表皮嚢胞疑い,悪性所見なし.
3回目手術から2年10ヶ月後,同部位に嚢胞遺残が確認されたが,経過観察.
【現病歴】3回目手術の約8年後から臀部腫瘤が再増大し始め,違和感が強くなったため11年2ヶ月後に当科紹介.
【現症】怒責させると臀部右側に弾性軟な腫瘤を確認できた.
【血液検査】炎症反応なし,CEA 1.6ng/ml,CA19-9 13.7 U/ml,SCC 4.8ng/ml.
【画像検査】超音波,CT,MRIで直腸背側かつ仙尾骨腹側で右臀部内側に達する嚢胞性腫瘤は増大していたが悪性所見は認めず,大腸内視鏡検査でも異常はなかった.
【手術】3回の手術既往があり癒着が予想され,直腸損傷を回避するため経腹,経仙骨的に切除する方針とした.腹腔鏡下で直腸後面を剥離し骨盤底で嚢胞を確認したが以前の手術により周囲組織が固く尾骨や肛門挙筋との剥離が困難だった.その後体位をジャックナイフとし,臀部右側の傍仙骨で切開,腹腔内からの剥離部分を確認し嚢胞を摘出した.手術時間4時間50分,出血50ml.
【切除標本】長径9cmの嚢胞で内容物は茶白色のかす状であった.
【病理所見】嚢胞壁は角化重層扁平上皮に裏打ちされ類表皮嚢胞と診断,悪性所見は認めなかった.
【考察】腹腔鏡下で直腸を肛門挙筋から十分剥離しておくことにより傍仙骨操作を安全に行えた.癒着が疑われる場合に本術式は有用であると思われた.
【症例】70代,女性
【主訴】臀部腫瘤
【経過】20年10ヶ月前,骨盤内直腸右側に接する10cm大の後腹膜嚢腫に対して,婦人科で開腹手術.婦人科的臓器は異常なく,嚢胞壁を部分切除し緑褐色内容液365mlを吸引してドレナージした.病理で子宮内膜症や悪性の所見はなし.
初回手術から5年後と,2回目手術から4年2ヶ月後,仙骨前面に嚢胞再発があり当科で傍仙骨的に内容物掻爬.病理で類表皮嚢胞疑い,悪性所見なし.
3回目手術から2年10ヶ月後,同部位に嚢胞遺残が確認されたが,経過観察.
【現病歴】3回目手術の約8年後から臀部腫瘤が再増大し始め,違和感が強くなったため11年2ヶ月後に当科紹介.
【現症】怒責させると臀部右側に弾性軟な腫瘤を確認できた.
【血液検査】炎症反応なし,CEA 1.6ng/ml,CA19-9 13.7 U/ml,SCC 4.8ng/ml.
【画像検査】超音波,CT,MRIで直腸背側かつ仙尾骨腹側で右臀部内側に達する嚢胞性腫瘤は増大していたが悪性所見は認めず,大腸内視鏡検査でも異常はなかった.
【手術】3回の手術既往があり癒着が予想され,直腸損傷を回避するため経腹,経仙骨的に切除する方針とした.腹腔鏡下で直腸後面を剥離し骨盤底で嚢胞を確認したが以前の手術により周囲組織が固く尾骨や肛門挙筋との剥離が困難だった.その後体位をジャックナイフとし,臀部右側の傍仙骨で切開,腹腔内からの剥離部分を確認し嚢胞を摘出した.手術時間4時間50分,出血50ml.
【切除標本】長径9cmの嚢胞で内容物は茶白色のかす状であった.
【病理所見】嚢胞壁は角化重層扁平上皮に裏打ちされ類表皮嚢胞と診断,悪性所見は認めなかった.
【考察】腹腔鏡下で直腸を肛門挙筋から十分剥離しておくことにより傍仙骨操作を安全に行えた.癒着が疑われる場合に本術式は有用であると思われた.