講演情報

[SR1-4]ロボット支援下結腸切除の導入から定型化へ―Hybrid RASの試み―

長山 聡, 橋本 恭一, 中山 雄介, 我如古 理規, 岡本 三智夫, 野村 勇貴, 武内 悠馬, 竹内 豪, 藤岡 祥恵, 植田 圭祐, 島田 明, 角田 海斗, 久保田 良浩 (宇治徳洲会病院外科)
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当院では2022年8月よりロボット支援下結腸切除術(da Vinci Xi dual console)を導入し,これまでに25症例を経験した.内訳は,回盲部切除7例,結腸右半切除8例,結腸拡大右半切除2例,横行結腸切除4例,結腸左半切除4例で,すべて体腔内デルタ吻合で再建した.2024年1月からは新たに導入したHugoを活用して,結腸右半切除2例(体腔内デルタ吻合1,体外吻合1),結腸拡大右半切除1例(体外吻合),横行結腸切除3例(体腔内デルタ吻合2,体外吻合1)を施行した.全31症例の手術時間(中央値)は398分(265-685分),出血量(中央値)は1cc(1-150cc)であり,ロボットの機種に関わらず,いずれの症例でも縫合不全,イレウス,創部感染の術後合併症はなく,経過良好で,現在まで再発は認めていない.体腔内デルタ吻合を行った1例で吻合部狭窄を認めたが,内視鏡的拡張術は要せず自然軽快した.RAS(robot-assisted surgery)導入当初は,da Vinciポートと助手ポートの配置を症例ごとに検討し変えてきたが,現在はポート配置の法則を定めて定型化しており,独立アーム型のHugoでも同様のポート配置で行っている.最近は,従来の腹腔鏡下手術の手技やデバイスを用いて助手と協調して作業するHybrid RASも注目されている.当院でも最初の11例はPure RASで行っていたが,2023年5月よりHybrid RASへ移行し,後の20例(Hugo症例も含む)では,助手がストレスなく作業出来るようにポートを配置し,助手が2本の鉗子を使って積極的に術野展開に加わり,腹腔鏡下手術のデバイスを用いて,腸間膜処理や血管のクリッピング,体腔内デルタ吻合のステイプリングを助手が行うようにした.当院のHybrid RASでは1症例あたり約9万円のコスト削減につながっている.RAS導入で若手外科医の手術執刀や学習機会の減少が懸念される中で,助手参加型の手術スタイルであるHybrid RASは,助手に術者的役割を与える事で手術に対する意欲を湧かせ,助手の積極的な手術への参加を促すとともに,術者の意図をくみ取った術野展開や術者との円滑な連携作業を常に意識させるため,学習の観点からも有用であると考えている.当院でのHugoによる手術手技も含めて,Hybrid RASへの取り組みを供覧したい.