講演情報
[VSY2-4]慢性裂肛・肛門狭窄に対する外科治療の選択
岡田 大介, 佐原 力三郎, 鹿野 颯太 (社会医療法人財団仁医会牧田総合病院肛門病センター)
【目的】裂肛の治療は通常排便習慣の改善や局所療法を主とした保存的治療が優先される.しかし,器質的狭窄や脱出する肛門ポリープを伴う症例,保存的治療の無効例では外科治療の対象となる.当院での裂肛に対する外科治療の術式選択を示し,手術治療成績につき検討する.
【術式選択】裂肛の外科治療で重要なのは狭窄を適切に解除すること,また肛門管内の凹凸をなるべく平坦化し裂肛が治癒しやすい環境を整えることである.術式選択に際し,まず狭窄の有無とその程度を正確に把握する.狭窄のない症例に対しては裂肛切除術,内括約筋レベルの狭窄に対しては用手拡張術(MD)+裂肛切除術を行うが,多くの裂肛症例では内括約筋の硬化を伴うため,内括約筋硬化の程度に合わせなるべく用手拡張術を併施するようにしている.また肛門上皮レベルでの狭窄を伴う例,高度狭窄例では皮膚弁移動術(SSG)を基本術式とする.必要に応じて複数個所でMD,SSG,裂肛切除術を組み合わせる.目安として2横指が楽に通る程度まで拡張を行う.
【対象】2020年4月から2023年9月までに当院で施行した裂肛・肛門狭窄に対する初回手術例のうち,4ヵ月以上経過観察しえた症例(4ヵ月未満の治癒例を含む)96例を対象とし,診療録を元に後ろ向きに検討した.なお痔核手術等の術後狭窄症例,クローン病合併例は除外した.
【結果1】手術時年齢は45.8歳,男女比は57:39,平均観察期間は116日であった.術式の内訳は裂肛切除術単独20例(20.8%),MD(±裂肛切除術)68例(70.8%),SSG8例(8.3%)であった.
【結果2】全症例の治癒期間中央値は53日,治癒遷延(治癒まで120日以上を要した例)5例(5.2%),非治癒(難治創)3例(3.1%),狭窄残存1例(1.0%)であった.再手術例は1例(1.0%)であり,術後何らかの失禁症状を訴える症例を認めなかった.術式別では,裂肛切除術単独例では治癒期間中央値64.5日と延長傾向であり,再手術1例はこの術式であった.SSGとMDについては大きな差を認めなかった.
【結語】裂肛に対する外科手術の成績は適切な術式選択を行えば概ね良好であるが,裂肛ドレナージの際は何らかの狭窄解除の手技を併用することが望ましい.
【術式選択】裂肛の外科治療で重要なのは狭窄を適切に解除すること,また肛門管内の凹凸をなるべく平坦化し裂肛が治癒しやすい環境を整えることである.術式選択に際し,まず狭窄の有無とその程度を正確に把握する.狭窄のない症例に対しては裂肛切除術,内括約筋レベルの狭窄に対しては用手拡張術(MD)+裂肛切除術を行うが,多くの裂肛症例では内括約筋の硬化を伴うため,内括約筋硬化の程度に合わせなるべく用手拡張術を併施するようにしている.また肛門上皮レベルでの狭窄を伴う例,高度狭窄例では皮膚弁移動術(SSG)を基本術式とする.必要に応じて複数個所でMD,SSG,裂肛切除術を組み合わせる.目安として2横指が楽に通る程度まで拡張を行う.
【対象】2020年4月から2023年9月までに当院で施行した裂肛・肛門狭窄に対する初回手術例のうち,4ヵ月以上経過観察しえた症例(4ヵ月未満の治癒例を含む)96例を対象とし,診療録を元に後ろ向きに検討した.なお痔核手術等の術後狭窄症例,クローン病合併例は除外した.
【結果1】手術時年齢は45.8歳,男女比は57:39,平均観察期間は116日であった.術式の内訳は裂肛切除術単独20例(20.8%),MD(±裂肛切除術)68例(70.8%),SSG8例(8.3%)であった.
【結果2】全症例の治癒期間中央値は53日,治癒遷延(治癒まで120日以上を要した例)5例(5.2%),非治癒(難治創)3例(3.1%),狭窄残存1例(1.0%)であった.再手術例は1例(1.0%)であり,術後何らかの失禁症状を訴える症例を認めなかった.術式別では,裂肛切除術単独例では治癒期間中央値64.5日と延長傾向であり,再手術1例はこの術式であった.SSGとMDについては大きな差を認めなかった.
【結語】裂肛に対する外科手術の成績は適切な術式選択を行えば概ね良好であるが,裂肛ドレナージの際は何らかの狭窄解除の手技を併用することが望ましい.