講演情報

[SR5-3]横行結腸癌に対するロボット支援手術の工夫~中結腸動静脈根部の手技とポート配置を中心に~

鈴木 卓弥, 髙橋 広城, 浅井 宏之, 上原 崇平, 加藤 瑛, 藤井 義章, 渡部 かをり, 牛込 創, 瀧口 修司 (名古屋市立大学消化器外科)
PDFダウンロードPDFダウンロード
<背景>中結腸動脈根部を郭清中心とする横行結腸癌は解剖学的特性から一般的に高難度手術とされる.また,ロボット手術では,肝彎曲授動・脾彎曲授動の観点からポート配置など課題がある.当院では郭清血管と腸管長により術式を決定しており,それに合わせてポート位置を定めている.具体的には,結腸右半切除:逆L字,横行結腸切除:横1列,結腸左半:縦1列とすることが多く,可能な限り郭清血管と直行するように心掛けている.
<目的>横行結腸癌に対して実施したロボット支援下手術の成績を検討すること.また,ビデオを供覧し手術の工夫を供覧すること.
<対象と方法>2018年1月から2024年3月の間に横行結腸癌に対してロボットを使用して根治術を行った29例(Ro群)と腹腔鏡を使用した70例(Lap群)を対象に後ろ向きに比較検討を行った.
<結果>Ro群:Lap群の患者背景は年齢中央値71(46-93):72.5(35-91),性別(男性/女性)12/17:38/32,BMI=21.3(16.5-30.8):22.3(11.3-35.2),cTis/T1/T2/T3/T4=1/5/3/14/6:0/14/8/36/12,cN0/N1/N2/N3=19/7/2/1:48/18/4/0であり,それぞれ有意な差は認めなかった.実施術式(結腸右半/拡大結腸右半/横行結腸/結腸左半)=8/10(34.8%)/3(10.3%)/8:19/11(15.6%)/33(47.1%)/7とRo群で拡大結腸右半が多く,Lap群で横行結腸切除が多い結果であった(p<0.01).実施リンパ節郭清(D2/3)=3/24:10/60で差はなかった.吻合方法(体腔外/体腔内)=8/21:62/7(p<0.01)とRo群で体腔内が多かった.Ro群の使用ロボットはdaVinci/hinotori=25/4であった.
Ro群:Lap群で手術時間343(213-623):250(89-587)分(p<0.01)とRo群で長く,出血量45(1-517):39.5(2-1294)ml(p=0.34),開腹移行はいずれも0例,Clavien-Dindo Grade III以上の術後合併症はRo群1例(3.5%),Lap群4例(5.6%)(p=0.84)であった.
<結語>横行結腸癌に対するロボット支援下手術の成績は許容できるものであるが,手術時間に関しては定型化などによる短縮が必要である.