講演情報

[O19-3]横行結腸癌に対する腹腔鏡下D3郭清の手術手技と治療成績

國友 愛奈, 小松 俊一郎, 松村 卓樹, 上田 翔, 篠原 健太郎, 安藤 公隆, 齊藤 卓也, 深見 保之, 金子 健一朗, 佐野 力 (愛知医科大学病院消化器外科)
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【緒言】当科では,横行結腸癌に対する術式は,術前画像及び術中所見でmain feederと腫瘍の位置を確認して決定しており,腫瘍が横行結腸中央~左側に位置し,MCA左枝ないしAMCAがmain feederの場合,脾彎曲部授動を伴う横行結腸切除術を選択する.当科の腹腔鏡下横行結腸切除の確実なD3郭清と脾彎曲授動の定型手技を供覧し,治療成績を報告する.
【手術手技】1)IMVアプローチで結腸間膜と後腹膜の間を剥離,膵臓下縁を確認.2)Treitz靭帯から右側へと横行結腸間膜と小腸間膜の間を剥離しSMA/Vの前面に到達.MCA根部を露出し#223郭清,MCAを末梢へ追いつつ,郭清右縁を決定,左枝を処理.3)Treitzより膵下縁に沿って左側へ結腸間膜基部を切離しIMV中枢処理.可能ならこの視野で網嚢に入っておく.膵尾部側の内側授動も追加.4)頭側からも大網切離し網嚢内に入り,膵下縁に沿って結腸間膜を切離し先の内側授動と層を連続.膵尾部側の授動.5)膵体部側は,横行結腸間膜切離右縁のゴールを先に設定し,頭側からの視野で,残った組織を膵臓下縁で切離.その際MCVやAMCA,リンパ管を含む組織は適宜clippingまたはsheeling切離.6)外側授動を行い,脾彎曲部を完全に授動.7)吻合は体外でFEEA.
【成績】2016年1月-2023年6月の間にpStageI-IIIの横行結腸癌に対して66例手術を施行しており,RHCまたはERHCが27例,横行結腸切除が21例,LHCが18例であった.横行結腸切除を施行した21例を検討した.開腹5例,腹腔鏡16例で開腹移行はなし.21例でR0切除が達成された.郭清度はD1/2/3=6/7/8例,手術時間中央値215分(IQR:174-230),出血量中央値20mL(IQR:9-40),CD GradeII以上の合併症は4例(19.0%),pT1/2/3=4/5/12,pN0/1/2=19/1/1,pStageI/II/III=8/11/2だった.観察期間中央値は47.2ヶ月で再発は3例(14.3%)に認め,3-RFS=88.9%だった.
【結語】頭側・尾側からの視野展開で,膵臓下縁での安全かつ過不足ない結腸間膜切離・郭清と脾彎曲部授動を行う腹腔鏡下横行結腸切除の手技を報告した.