講演情報
[O10-5]局所進行大腸癌における術前化学療法,当院での後方視的検討
福岡 麻子, 佐々木 大祐, 浜辺 太郎, 牧角 良二, 大坪 毅人 (聖マリアンナ医科大学病院消化器・一般外科)
局所進行大腸癌に対する術前治療の有用性について関心が集まっており臨床試験が施行されている.
当院では腫瘍周囲に膿瘍形成をしていたり,広範に他臓器浸潤をしている症例では,手術侵襲,手術における根治性を考慮し,人工肛門を造設し,化学療法を施行してきた.その後膿瘍腔,原発巣が縮小した状態で切除する方針としている.
2010年から2023年に当院でstage2-3,周囲膿瘍形成,広範な他臓器浸潤がある大腸癌に対して人工肛門造設した症例をretrospectiveに検討した.
人工肛門を造設した症例は29例で,その後根治切除したのは11例,切除していないのは18例であった.非切除例のうち化学療法を導入したのは9例で,導入しなかった9例の理由は,感染症による死亡2例(肺炎,局所),PS低値1例,化学療法拒否1例であった.
非切除のうち2例は化学療法中で,根治切除したうち1例は術前に化学療法を施行していなかった.
人工肛門造設後に化学療法を施行し根治切除した10例と,人工肛門造設後に化学療法を施行したが切除に至らなかった7例を比較検討した.
年齢中央値は切除群 58.5歳(28-76),非切除群69歳(57-77).性別は男性60% vs 42.9%,直腸60% vs 42.9%,周囲膿瘍形成あり80% vs 57.1%,他臓器浸潤ありは50% vs 85.7%であり,いずれも有用性差は認めなかった.浸潤臓器は後腹膜,腹壁,尿管,膀胱,精嚢,前立腺,子宮 vs 腹壁,尿管,膀胱,精嚢,前立腺,卵巣で両群同様であった.
切除群ではXelox,FOLFOX,抗EGFR抗体,Pembrolizumabが使用されており,3-9コース施行されていた.直腸癌の1症例ではCRTが追加されていた.術後合併症で1例死亡したが,他は無再発生存していた.
化学療法後,非切除の理由は,副作用による化学療法中止2例,PD3例,他臓器癌の出現1例,耐術能なし1例であった.
腫瘍周囲に膿瘍形成,広範な他臓器浸潤がある大腸癌に対して人工肛門造設後化学療法を導入した.症例は17例で,10例(58.8%)で切除に至っており,長期予後は良好であった.一方,7例(41.2%)で切除に至っておらず,3例(17.6%)は病状の進行が原因であった.
当院では腫瘍周囲に膿瘍形成をしていたり,広範に他臓器浸潤をしている症例では,手術侵襲,手術における根治性を考慮し,人工肛門を造設し,化学療法を施行してきた.その後膿瘍腔,原発巣が縮小した状態で切除する方針としている.
2010年から2023年に当院でstage2-3,周囲膿瘍形成,広範な他臓器浸潤がある大腸癌に対して人工肛門造設した症例をretrospectiveに検討した.
人工肛門を造設した症例は29例で,その後根治切除したのは11例,切除していないのは18例であった.非切除例のうち化学療法を導入したのは9例で,導入しなかった9例の理由は,感染症による死亡2例(肺炎,局所),PS低値1例,化学療法拒否1例であった.
非切除のうち2例は化学療法中で,根治切除したうち1例は術前に化学療法を施行していなかった.
人工肛門造設後に化学療法を施行し根治切除した10例と,人工肛門造設後に化学療法を施行したが切除に至らなかった7例を比較検討した.
年齢中央値は切除群 58.5歳(28-76),非切除群69歳(57-77).性別は男性60% vs 42.9%,直腸60% vs 42.9%,周囲膿瘍形成あり80% vs 57.1%,他臓器浸潤ありは50% vs 85.7%であり,いずれも有用性差は認めなかった.浸潤臓器は後腹膜,腹壁,尿管,膀胱,精嚢,前立腺,子宮 vs 腹壁,尿管,膀胱,精嚢,前立腺,卵巣で両群同様であった.
切除群ではXelox,FOLFOX,抗EGFR抗体,Pembrolizumabが使用されており,3-9コース施行されていた.直腸癌の1症例ではCRTが追加されていた.術後合併症で1例死亡したが,他は無再発生存していた.
化学療法後,非切除の理由は,副作用による化学療法中止2例,PD3例,他臓器癌の出現1例,耐術能なし1例であった.
腫瘍周囲に膿瘍形成,広範な他臓器浸潤がある大腸癌に対して人工肛門造設後化学療法を導入した.症例は17例で,10例(58.8%)で切除に至っており,長期予後は良好であった.一方,7例(41.2%)で切除に至っておらず,3例(17.6%)は病状の進行が原因であった.