講演情報
[VPD1-8]当院におけるIII型,IV型痔瘻に対する初回手術の術式と成績
佐原 力三郎, 岡田 大介, 鹿野 颯太 (牧田総合病院)
<はじめに>III型,IV型痔瘻の病態は低位筋間(II型)痔瘻と同様にcryptoglandular infectionである.しかしIII型,IV型痔瘻においては初期瘻管の走行は原発口である正中後方のクリプトから正中高位に向かって内肛門括約筋を貫き,原発巣・PDS(正中後方隙)に至り,肛門管の深部において外肛門括約筋外側あるいは肛門挙筋上を走行しているのが特徴である.我々の初回手術としてのIII型,IV型痔瘻手術治療のコンセプトは,肛門管内からの感染経路を低侵襲に処理(SIFT・IS)し,既に慢性化している感染源としての原発巣や外側瘻管内の感染巣を術中に可及的に切除処理し,術後持続的に肛門管外ドレナージしていくことである(外側アプローチ).当院においては初回のIII型,IV型痔瘻手術に対しては外側アプローチ+SIFT・IS法を第一選択として施行している.今回この術式に関する検討を行った.
<対象>当院で2020年4月から2023年9月までの間に手術を施行したIII型,IV型痔瘻82例の内,再手術例,IBD合併症例,クリプト外からの痔瘻は除外し,初回手術症例に限定し,術後4ヶ月以上経過観察できた外側アプローチ+SIFT・IS法症例37例について,術後経過,成績について後方視的に検討した.性差は35:2で男性に多く,手術時平均年令は44.3(27-79)才であった.
<結果>術後4ヶ月(120日)の時点で術後経過を判定した.完治症例は19例(51.4%)で,完治までの平均治癒期間は78(39~115)日であった.治癒遷延例は13例(35.1%)で再手術症例は5例(13.5%)であった.治癒遷延例においてもその後完治に至った症例は3例で,他の遷延中症例の愁訴はごく軽微でQOLは保たれていた.術後の排便状態は問診により判定しており,全ての症例において便・ガス失禁や排便関連の愁訴は認めなかった.
<結語>III型,IV型痔瘻に対する外側アプローチ+SIFT・IS法は治癒期間を限定した根治性において十分とは言いがたいが,このタイプの深部痔瘻に対しても肛門上皮の温存は可能であると思われた.術式の詳細はビデオにて供覧する.
<対象>当院で2020年4月から2023年9月までの間に手術を施行したIII型,IV型痔瘻82例の内,再手術例,IBD合併症例,クリプト外からの痔瘻は除外し,初回手術症例に限定し,術後4ヶ月以上経過観察できた外側アプローチ+SIFT・IS法症例37例について,術後経過,成績について後方視的に検討した.性差は35:2で男性に多く,手術時平均年令は44.3(27-79)才であった.
<結果>術後4ヶ月(120日)の時点で術後経過を判定した.完治症例は19例(51.4%)で,完治までの平均治癒期間は78(39~115)日であった.治癒遷延例は13例(35.1%)で再手術症例は5例(13.5%)であった.治癒遷延例においてもその後完治に至った症例は3例で,他の遷延中症例の愁訴はごく軽微でQOLは保たれていた.術後の排便状態は問診により判定しており,全ての症例において便・ガス失禁や排便関連の愁訴は認めなかった.
<結語>III型,IV型痔瘻に対する外側アプローチ+SIFT・IS法は治癒期間を限定した根治性において十分とは言いがたいが,このタイプの深部痔瘻に対しても肛門上皮の温存は可能であると思われた.術式の詳細はビデオにて供覧する.