講演情報

[VWS1-1]一期的に4ヶ所以上の結紮切除半閉鎖法を施行した症例の検討

佐原 力三郎, 岡田 大介, 鹿野 颯太 (牧田総合病院)
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<はじめに>痔核に対する手術方法は,患者側の因子や術者の考え方や技量や施設の条件からいろいろな術式が選択されているのが現状である.しかし巨大痔核,全周性痔核,多発痔核に対しての一期的手術となると選択肢が限られてくる.結紮切除半閉鎖法は一期的に多数施行した場合に術後の肛門狭窄の合併が危惧されて敬遠されることも多い.当院では基本的に痔核に対する手術は結紮切除半閉鎖法を第一選択としており,4ヶ所以上の結紮切除も同様の手術手技で行っている.今回一期的に4ヶ所以上の結紮切除半閉鎖法を行った症例について検討したので報告する.
 <対象>2020年4月から2023年9月までに当院で施行した痔核(脱肛)のうち一期的に4ヶ所以上の結紮切除半閉鎖法を行った症例37例を術後経過,成績について後方視的に検討した.男女比は16:21で女性に多く,手術時平均年令は49.1(29~75)才であった.全員が3泊4日以下の入院下で腰椎麻酔下ジャックナイフ体位(1例のみ全麻下砕石位)にて施行した.
 <術式>痔核症例はもともと肛門上皮が通常より過剰に存在しており,その上皮下に病変の主体が存在する.肛門上皮を適切に温存しつつ痔核の郭清を確実に行うことで根治性と狭窄予防が可能となる.肛門上皮の切離線を病変の範囲より縮小した形の結紮切除半閉鎖法を行っている.この種類の痔核にはALTA療法は適用してない.
 <結果>術後4ヶ月(120日)時点で評価した.1例が術後狭窄に対するブジー治療により長引いたが36例(97.3%)は完治しており,平均治癒期間は53(22~180)日であった.1例に術後晩期の出血があって再入院と輸血を要した.問診による排便障害は認めなかった.
 <結語>多発した大きな痔核に対する4ヶ所以上の一期的結紮切除半閉鎖法は術中術後の侵襲や合併症を増すことなく施行できる有用な術式である.手術の詳細はビデオにて供覧する.