講演情報
[P6-1-4]生検後の自然消退が疑われた2型下行結腸癌の一例
三浦 智也1, 辻仲 眞康1, 佐藤 好宏1, 北村 洋1, 澤田 健太郎1, 三田村 篤1, 桜井 博仁2, 高見 一弘2, 近藤 裕哉1, 藤村 敏行1, 岩田 典士1, 鈴木 法彦1, 長嶋 信太郎2, 山家 研一郎2, 近藤 典子2, 中野 徹1, 山本 久仁治2, 片寄 友2, 柴田 近1 (1.東北医科薬科大学病院消化器外科, 2.東北医科薬科大学病院肝胆膵外科)
【症例】70代男性.高血圧以外特記すべき既往症はなく,手術の既往もない.検診で便潜血陽性と判定され,下部内視鏡検査にて下行結腸に筋層浸潤を疑う2型腫瘍を認め,同部位より2か所生検を行った.病理組織診断は中分化腺癌で,CT検査ではリンパ節転移や遠隔転移なく,確定診断後2ヶ月後に外科的切除の方針となった.診断から手術まで感染症など他疾患の治療歴なく,降圧薬以外の薬剤治療は行っていない.手術は腹腔鏡下結腸部分切除術(下行結腸)を行った.手術所見では腹腔内に腹膜播種や肝転移の所見なく,炎症性癒着も認めなかった.腫瘍位置は漿膜面からは明らかでなく,術前内視鏡検査施行時の点墨で病変を確認した.病変は左結腸動脈の支配領域であり下腸間膜動脈根部を結紮しD3リンパ節郭清した.術後合併症なく,術後8日目に退院した.切除標本の肉眼所見では術前の内視鏡像とは明らかに異なる5mm大の瘢痕形成があり,病理組織診断では同部位に筋層まで広がる肉芽組織を認め,癌組織を認めなかった.術後1年経過しているが,再発を認めていない.
【考察】内視鏡下生検後に何らかの影響を受け自然消退したと考えうる進行結腸癌を経験した.非常に稀な現象であるが,過去にも同様の現象が見られた報告もあり文献的考察を加えて報告する.
【考察】内視鏡下生検後に何らかの影響を受け自然消退したと考えうる進行結腸癌を経験した.非常に稀な現象であるが,過去にも同様の現象が見られた報告もあり文献的考察を加えて報告する.