講演情報

[O23-4]腹膜播種を伴うstage IV大腸癌の治療

大内 繭子, 宮本 裕士, 堀野 大智, 前田 裕斗, 小川 克大, 日吉 幸晴 (熊本大学病院消化器外科)
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【背景】大腸癌腹膜播種は同時性遠隔転移の頻度として大腸癌全体の4.5%と肝転移に次いで多く,切除不能大腸癌として全身化学療法が施行されることが多い.腹膜播種を伴うstage IV大腸癌の予後は一般的に不良であ理,治療内容の改善が必要とされている.今回,腹膜播種を伴うstage IV大腸癌について治療成績を検証した.
【対象と方法】2011年~2022年の間にstage IV大腸癌と診断された症例209例を対象に,腹膜播種を伴う症例と伴わない症例で治療内容や予後について後ろ向きで検討した.
【結果】stage IV大腸癌209例中,腹膜播種を伴う症例は47例(22.5%),性別は男性:女性=20:27例,年齢中央値は66歳(32~85歳)であった.一次治療は腹膜播種あり群,腹膜播種なし群ともにオキサリプラチンベースがそれぞれ72.3%,84.6%と最も多く,ベバシズマブ併用はそれぞれ68.1%,61.1%と腹膜播種の有無でレジメンに差はなかった(p=0.33).施行したレジメン数は腹膜播種あり群で1:2:3:4レジメン以上=14(30%):14(30%):12(25.5%):7(14.5%)で腹膜播種なし群では1:2:3:4レジメン以上=52(32.1%):51(31.5%):28(17.3%):7(19.1%)と違いは認められなかった(p=0.72).原発巣切除の施行は腹膜播種あり群で30例(63.8%),腹膜播種なし群で105例(64.8%)と有意差は認めなかった(p=0.90).3年生存率は腹膜播種あり群で20.8%(生存期間中央値21.1ヶ月),腹膜播種なし群で39.8%(生存期間中央値25.4ヶ月)(p=0.08)と腹膜播種を伴うと予後不良である傾向を認めた.
【結語】stage IV大腸癌の治療は腹膜播種の有無によって変わることはなく,腹膜播種を伴うと,より予後不良である.