講演情報
[O25-4]腹腔鏡下直腸固定術の導入にあたり当院で行っている工夫とこだわり
紅谷 鮎美1, 宮島 伸宜1, 國場 幸均1, 大島 隆一2, 佐井 佳世1, 米本 昇平1, 酒井 悠1, 松島 小百合1, 鈴木 佳透1, 小菅 経子1, 彦坂 吉興1, 香取 玲美1, 松村 奈緒美1, 河野 洋一1, 宋 江楓1, 下島 裕寛1, 岡本 康介1, 黒水 丈次1, 松島 誠1 (1.松島病院, 2.川崎多摩病院)
【はじめに】当院は直腸脱に対して年間30-40件手術を行っている.これまではGant-三輪-Thiersch法やDelorme法など経肛門的な手術のみであったが,昨年から腹腔鏡下直腸固定術を開始した.
【対象と方法】2023年12月から2024年4月の間に腹腔鏡下直腸固定術を行った12例について,手術結果を報告する.排便造影検査で仙骨前面の固定が不良な直腸脱,直腸重積,直腸瘤を認めた症例で,全身麻酔が可能な症例を固定術の対象としている.
【手術手技】全身麻酔下で砕石位とし,5ポートで手術を行う.TMEの層で直腸後腔の剥離を行い,両側の側方靭帯は温存した上で,さらにその後方,側方を剥離し,肛門挙筋まで確実に剥離する.前壁は腹膜反転部から6-10cm程度剥離を行い,直腸瘤が併存する場合は瘤の肛門側まで剥離する.S状結腸切除は行わない.直腸を十分に引き上げた状態で左右の腸間膜を非吸収性のタッカーで岬角に固定し,Knotlessの縫合糸で腹膜反転部と左右の腹膜の修復を行い新たな骨盤底を形成する.
【結果】男女比は1:3,年齢の中央値は71.5歳(27-83歳).直腸瘤や直腸重積を認めたものは5例あった.手術は術者,前立ち共に腹腔鏡の技術認定医が行った.手術時間の中央値は159分(126-190分),出血量の中央値は6g(3-58g).術後に腹腔内血腫を形成したものが1例あったが,保存治療で血腫の縮小を認めた.短期成績のため再発は認めていない.全例手術前から便秘を認めており,術後も便秘がみられたが,ほとんどが軟便剤,下剤でコントロールできている.
【結語】当院の直腸固定術のこだわりとして,①直腸脱の再発防止のため,肛門挙筋のレベルまで直腸を全周性に剥離する.②新たな便秘予防のため側方靭帯は温存する.③直腸前面もしっかり剥離することで直腸瘤の改善も可能となる.またメッシュを使用せずタッカーで直腸を吊り上げ固定することと,腹膜修復にKnotlessの縫合糸を使用することで,手術手技を簡便にし,手術時間の短縮を図っている.手術開始から4か月の短期成績であるため,今後長期的に経過を追っていく.
【対象と方法】2023年12月から2024年4月の間に腹腔鏡下直腸固定術を行った12例について,手術結果を報告する.排便造影検査で仙骨前面の固定が不良な直腸脱,直腸重積,直腸瘤を認めた症例で,全身麻酔が可能な症例を固定術の対象としている.
【手術手技】全身麻酔下で砕石位とし,5ポートで手術を行う.TMEの層で直腸後腔の剥離を行い,両側の側方靭帯は温存した上で,さらにその後方,側方を剥離し,肛門挙筋まで確実に剥離する.前壁は腹膜反転部から6-10cm程度剥離を行い,直腸瘤が併存する場合は瘤の肛門側まで剥離する.S状結腸切除は行わない.直腸を十分に引き上げた状態で左右の腸間膜を非吸収性のタッカーで岬角に固定し,Knotlessの縫合糸で腹膜反転部と左右の腹膜の修復を行い新たな骨盤底を形成する.
【結果】男女比は1:3,年齢の中央値は71.5歳(27-83歳).直腸瘤や直腸重積を認めたものは5例あった.手術は術者,前立ち共に腹腔鏡の技術認定医が行った.手術時間の中央値は159分(126-190分),出血量の中央値は6g(3-58g).術後に腹腔内血腫を形成したものが1例あったが,保存治療で血腫の縮小を認めた.短期成績のため再発は認めていない.全例手術前から便秘を認めており,術後も便秘がみられたが,ほとんどが軟便剤,下剤でコントロールできている.
【結語】当院の直腸固定術のこだわりとして,①直腸脱の再発防止のため,肛門挙筋のレベルまで直腸を全周性に剥離する.②新たな便秘予防のため側方靭帯は温存する.③直腸前面もしっかり剥離することで直腸瘤の改善も可能となる.またメッシュを使用せずタッカーで直腸を吊り上げ固定することと,腹膜修復にKnotlessの縫合糸を使用することで,手術手技を簡便にし,手術時間の短縮を図っている.手術開始から4か月の短期成績であるため,今後長期的に経過を追っていく.