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[O12-2]脾弯曲結腸癌に対する郭清成績と長期予後に関する検討

市川 伸樹, 吉田 雅, 大野 陽介, 柴田 賢吾, 今泉 健, 石塚 千紘, 武冨 紹信 (北海道大学消化器外科1)
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背景目的:脾弯曲結腸では血管走行が複雑で,至適な郭清範囲について判断に難渋する場合も多い.当科での同部局所進行癌に対する腹腔鏡手術での郭清成績と長期予後について検討する.
方法:今回,2009年から2023年に行った,左側横行結腸から下行結腸にかけての遠隔転移を有さないpT3癌38例pT4癌8例計46例に対する,腹腔鏡下結腸癌切除での郭清成績と長期予後を検討した.
結果:平均年齢70.5才の男性27女性19例(BMI 22.6,ASA3以上6例)の横行結腸癌17例/下行結腸癌29例に対し,結腸部分切除17例,結腸左半切除29例が施行された.郭清はD1/D2/D3郭清が2/23/21例であった.中結腸動脈領域の郭清は23例(50%),左結腸動脈領域の郭清は29例(63%)に行われ,副中結腸動脈の郭清は13例(28%)で行われた.平均手術時間166分,出血量28ml,開腹移行2例(4.3%)で,Clavien-Dindo Grade3以上の合併症は2例(4.3%,循環器疾患,汎発性腹膜炎),再手術は1例(2.9%)であった.リンパ節摘出個数は平均19.9個,リンパ節転移個数は1.7個,pN0/1a/1b/2a/2bはそれぞれ25/9/3/5/4例,リンパ節転移陽性率は#221が17%,#222ltが0%,#223が0%,#231が52%,#232が7%,#253が0%であった.病理組織診では42例が分化型で,平均腫瘍最大径44.9mm,V陽性29例,Ly陽性27例で,病理学的進行度はIIa/IIb/IIc/IIIb/IIIcが22/2/1/15/6例であった.45例(98%)がR0切除を達成し,補助化学療法はステージII/III症例に2/14例ずつ施行され,5年無再発生存率はステージII/IIIでそれぞれ100/64.3%であった(観察期間中央値55.5か月).領域リンパ節再発は認めなかった.
結語:左側横行結腸および下行結腸局所進行癌におけるリンパ節転移は傍腸管リンパ節が多くを占めていた.当科における脾弯曲癌に対する腹腔鏡手術では至適に郭清され,許容される長期成績を得ている.