講演情報
[O12-3]進行大腸癌におけるTextbook outcome達成率とMinimal Invasive Surgeryの長期生存に対する関係について
森田 覚, 岡林 剛史, 百瀬 ゆずこ, 茂田 浩平, 北川 雄光 (慶應義塾大学医学部外科学教室(一般・消化器))
背景: Textbook outcome(TO)は,単一のendpointで評価できない,理想的な手術および術後経過を反映する包括的指標として近年注目されている.進行大腸癌における最小侵襲手術(MIS)の有用性の確立されつつあるが,包括的な指標における評価は未だ十分ではない.本研究では,進行結腸癌患者におけるTO達成と外科的手法の関連を検討し,良好な長期成績を得るため最適な外科手術戦略を考察した.
対象と方法: 2012年から2020年に当院で根治手術を施行したpT3/4結腸癌414例を対象とした.初診から6週間以内の治療介入,根治切除,郭清リンパ節数(12個以上),非予定ストーマ造設の有無,及びClavien-Dindo(CD)分類≧IIIaの合併症の有無を評価項目とし,5項目全てを満たした場合をTO達成とした.ロジスティック回帰分析でTO不達成のリスク因子を検証するとともに,全生存期間に基づくカプランマイヤー曲線で手術アプローチとT0の関係を検証した.
結果: 対象患者414例中,MIS群が361例(87.2%),開腹手術群が53例(12.8%)であった.TO達成は全体のうち276例(66.7%)に見られ,MIS群において有意に高い達成率が認められた(MIS群,n=255,70.6% vs. 開腹手術群 n=21,39.6%,p<0.001).多変量解析では,開腹手術はTO不達成の独立したリスク因子であることが示唆された(OR 2.68,95%CI 1.37-5.25,p=0.004).MIS+TO達成群と開腹手術+TO達成群においては同等の長期予後が得られた一方で(5年生存率:MIS+TO達成群,83.9% vs. 開腹手術+TO達成群,83.9%,p=0.92),開腹手術+TO非達成群の長期成績は最も悪かった(開腹手術+TO非達成群,51.6%).
結語:外科的アプローチはTO達成の有意な関連する因子であった.一方で,TO達成は外科的アプローチに関係なく長期予後と関連する因子であり,術式に対する適切な患者選択が重要であることが示唆された.
対象と方法: 2012年から2020年に当院で根治手術を施行したpT3/4結腸癌414例を対象とした.初診から6週間以内の治療介入,根治切除,郭清リンパ節数(12個以上),非予定ストーマ造設の有無,及びClavien-Dindo(CD)分類≧IIIaの合併症の有無を評価項目とし,5項目全てを満たした場合をTO達成とした.ロジスティック回帰分析でTO不達成のリスク因子を検証するとともに,全生存期間に基づくカプランマイヤー曲線で手術アプローチとT0の関係を検証した.
結果: 対象患者414例中,MIS群が361例(87.2%),開腹手術群が53例(12.8%)であった.TO達成は全体のうち276例(66.7%)に見られ,MIS群において有意に高い達成率が認められた(MIS群,n=255,70.6% vs. 開腹手術群 n=21,39.6%,p<0.001).多変量解析では,開腹手術はTO不達成の独立したリスク因子であることが示唆された(OR 2.68,95%CI 1.37-5.25,p=0.004).MIS+TO達成群と開腹手術+TO達成群においては同等の長期予後が得られた一方で(5年生存率:MIS+TO達成群,83.9% vs. 開腹手術+TO達成群,83.9%,p=0.92),開腹手術+TO非達成群の長期成績は最も悪かった(開腹手術+TO非達成群,51.6%).
結語:外科的アプローチはTO達成の有意な関連する因子であった.一方で,TO達成は外科的アプローチに関係なく長期予後と関連する因子であり,術式に対する適切な患者選択が重要であることが示唆された.