講演情報
[PD5-9]大腸T1癌におけるESD治療成績の検討
小林 玲央1, 吉田 直久1, 井上 健1, 稲田 裕2, 森永 友紀子3, 稲垣 恭和4 (1.京都府立医科大学附属病院消化器内科, 2.京都第一赤十字病院消化器内科, 3.京都府立医科大学附属病院病理診断科, 4.西陣病院消化器内科)
【目的】
Endoscopic submucosal dissection(ESD)は種々のデバイスの開発や適切なストラテジーの考案により国内外で標準化が進んでいるが困難例についてはいまだ課題を有する.本研究では大腸T1癌におけるESDの治療成績を検討する.
【方法】
対象は2006年11月から2023年12月に当院で大腸ESDを施行した1898例中のT1癌233例(T1a:95例,T1b:138例)とした.T1a癌/T1b癌の治療成績および高度繊維化例の治療成績を検討した.
【結果】
T1a癌 vs. T1b癌で平均施行時間(分)72.4±45.1 vs. 77.8±52.0(p=0.31),一括切除率98.9% vs. 95.7%(p=0.25),完全一括切除率84.2% vs. 68.8%(p<0.01),粘膜筋板同定率93.7% vs. 15.2%(p<0.01),治癒切除率(浸潤距離以外のリンパ節転移リスクなし)62.1% vs. 34.1%(p<0.01),穿孔率6.6% vs. 2.9%(p=0.32)であった.なお高度繊維化は両群で13.7% vs. 33.3%(p<0.01)に認め,治療成績は平均施行時間(分)113.9±66.0 vs. 101.2±55.0(p=0.12),一括切除率100.0% vs. 93.5%(p=1.00),完全一括切除率61.5% vs. 54.3%(p=0.76),穿孔率23.1% vs. 2.2%(p=0.03)であった.
【結論】
大腸T1a癌およびT1b癌に対するESDは高い一括切除が得られていたが,T1b癌における病理学的な一括切除およびT1癌全体での高度線維化例の施行時間や穿孔率において課題が認められた.
Endoscopic submucosal dissection(ESD)は種々のデバイスの開発や適切なストラテジーの考案により国内外で標準化が進んでいるが困難例についてはいまだ課題を有する.本研究では大腸T1癌におけるESDの治療成績を検討する.
【方法】
対象は2006年11月から2023年12月に当院で大腸ESDを施行した1898例中のT1癌233例(T1a:95例,T1b:138例)とした.T1a癌/T1b癌の治療成績および高度繊維化例の治療成績を検討した.
【結果】
T1a癌 vs. T1b癌で平均施行時間(分)72.4±45.1 vs. 77.8±52.0(p=0.31),一括切除率98.9% vs. 95.7%(p=0.25),完全一括切除率84.2% vs. 68.8%(p<0.01),粘膜筋板同定率93.7% vs. 15.2%(p<0.01),治癒切除率(浸潤距離以外のリンパ節転移リスクなし)62.1% vs. 34.1%(p<0.01),穿孔率6.6% vs. 2.9%(p=0.32)であった.なお高度繊維化は両群で13.7% vs. 33.3%(p<0.01)に認め,治療成績は平均施行時間(分)113.9±66.0 vs. 101.2±55.0(p=0.12),一括切除率100.0% vs. 93.5%(p=1.00),完全一括切除率61.5% vs. 54.3%(p=0.76),穿孔率23.1% vs. 2.2%(p=0.03)であった.
【結論】
大腸T1a癌およびT1b癌に対するESDは高い一括切除が得られていたが,T1b癌における病理学的な一括切除およびT1癌全体での高度線維化例の施行時間や穿孔率において課題が認められた.