講演情報

[P6-2-4]StageII大腸癌根治切除術後における再発症例の検討

大野 陽介, 石塚 千紘, 今泉 健, 柴田 賢吾, 市川 伸樹, 吉田 雅, 武冨 紹信 (北海道大学病院)
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【背景】StageIIにおける根治切除術後の予後は比較的良好である.さらなる予後の改善のためには再発ハイリスク症例の選択,および術後補助化学療法を代表とした再発リスク低減を目的とした治療戦略の開発が望まれる.現状,ASCOおよびESMOのガイドラインにて規定されるハイリスク因子の有無により補助化学療法の適応が検討されている.
【目的】当科にて根治切除を施行したStageII大腸癌再発症例について検討する.
【方法】2009年1月~2021年4月の間に当科にて根治切除を行い病理学的にStageIIと診断された症例について検討した.3年以上のフォローが確認できない症例,重複癌症例については除外した.
【結果】対象症例は132例であった.男女比は77例:55例,年齢中央値69歳(41-87歳)であった.原発部位は右側結腸44例,左側結腸66例,直腸22例であった.術後3年以内の再発を13例に認めた.初回再発臓器について1臓器:8例(肺4例,肝2例,腹膜1例,吻合部1例),2臓器:4例(肺・胸膜1例,肺・肝1例,吻合部・腹膜1例,肺・腹膜1例),3臓器:1例(肺・腹膜・吻合部)であった.臨床病理学的因子と再発の関連については未分化成分が再発と関連する傾向にあった.(p=0.06)ハイリスク因子とされる脈管侵襲,リンパ管侵襲,T4,閉塞,術前CEA10以上,リンパ郭清個数12個以下については再発と有意な関連は認めなかった.上記ハイリスク因子2つ以上を有する症例においては再発との関連を認めた.(p=0.02)術後補助化学療法の施行有無については再発との関連を認めなかった.
【考察】再発部位として8例に肺転移が含まれており再発臓器としては最多であり,再発リスク低下のためには補助化学療法を代表とした全身的な治療の必要性が検討される.今回の検討は多くのlimitationがあるが,未分化成分を有する症例,2つ以上のハイリスク因子を有するものが再発ハイリスク群として考慮される.しかしながら,上記2つのハイリスク群においても補助化学療法による再発リスクの低減は認めず,補助化学療法による利益が得られる症例選別を目的としたバイオマーカー開発が求められる.
【結語】当科でのStageII再発症例について検討した.