講演情報

[P13-1-7]直腸癌局所再発仙骨合併切除症例の術前における集学的治療成績

瀧口 暢生, 植村 守, 竹田 充伸, 関戸 悠紀, 波多 豪, 浜部 敦史, 荻野 崇之, 三吉 範克, 山本 浩文, 土岐 祐一郎, 江口 英利 (大阪大学附属病院消化器外科)
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【目的】
 直腸癌局所再発(LRRC)は外科的切除による根治が期待され,本邦の治療ガイドラインでも根治切除が可能な場合は外科手術が推奨されている.一方,一般に悪性度が高いため局所再々発率が高く予後の改善が望まれている.LRRCに対する術前化学放射線療法(CRT)の意義に関しては確立されたエビデンスが無いのが現状であり,特に仙骨合併切除を伴うLRRCに対する集学的治療の報告は少ない.本研究では仙骨合併切除を伴うLRRCに対する術前CRT施行症例の治療成績を検討し,術前治療の妥当性を評価することを目的とした.
 【方法】
 2001年4月から2024年3月までに施行した仙骨合併切除を伴うLRRC手術症例102例を対象とした.術前CRT群(n=72)と手術先行群(n=30)に分けて局所無再々発生存期間(LRFS),全生存期間(OS),R0切除率,術後合併症(CD分類IIIa以上)発生率に関して解析した.
 【結果】
 術前CRT群と手術先行群の背景因子で,性別(P=0.520),年齢(P=0.747),BMI(P=0.708),ASA-classification(P=0.380),術前stage(P=0.680)は有意差を認めなかった.
 5年LRFSは術前CRT群で70.8%,手術先行群で48.4%であり,術前CRT群で有意に予後良好であった(P<0.05).5年OSは術前CRT群で50.0%,手術先行群で38.7%であり有意差は認めなかった(P=0.230).R0切除率は術前CRT群で90.0%,手術先行群で85.7%であり有意差を認めなかった(P=0.762).術後合併症(CD分類IIIa以上)発生率は術前CRT群で51.3%,手術先行群41.9%であり有意差を認めなかった(P=0.801).また,多変量解析ではLRFSに対して,術前CRTは有意な予後因子となった(P<0.05).OSに対しては両群では有意差を認めなかった(P=0.203).
 【結語】
 仙骨合併切除を伴うLRRCに対して術前CRTは局所制御の観点から有効である可能性が示唆された.