講演情報

[P10-1-5]脱出性内痔核に対するALTA併用CLDH法による術後の腫脹と疼痛の検討

井藤 尚武, 牧野 俊一郎, 堅田 親敏, 井藤 尚文 (八王子クリニック)
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【背景】内痔核に対する標準術式である痔核結紮切除術は,再発率は約0 - 2.5%と低いが,しばしば術後の腫脹と疼痛が問題になる.当院はCO2レーザーを用いて皮膚や肛門上皮を可及的に温存するClamed laser distal hemorrhoidectomy(CLDH)を考案し,CLDHを用いた外痔核切除(E3)とALTA注射を併用するALTA 併用CLDH法を日帰り手術で行なっている.今回我々はALTA 併用CLDH法による術後の腫脹と疼痛を後方視的に検討した.【対象・方法】2022年1月1日から2022年12月31日までに当院でALTA併用CLDH法を施行したGoligher分類3度/4度,嵌頓痔核の症例445名中,術後疼痛アンケートの記載があった105名を対象とした.腫脹の程度は3人の術者によるDelphi法で0(なし),1(軽度),2(重度)で評価し,疼痛の程度はVisual Analog Scale(VAS)で評価した.【結果】患者の年齢中央値は50歳(範囲:18-82),男性44人,女性61人であった.Goligher3度75人,4度28人,嵌頓痔核2人であった.平均治療時間は18.9±7.3分(範囲:7.2-39),平均ALTA投与量は9.2±4.0ml(範囲:2-20),平均切除個数は2.4±1.4個(1-7),平均出血量は8.4±11ml(範囲:0.1-51)であった.腫脹の程度は,なし76人,軽度24人,重度5人であった.疼痛の程度は,安静時VASでPOD1:2.9±2.1,POD7:1.6±1.7,POD14:0.7±1.1,POD21:0.2±0.5,排便時VASでPOD1:4.1±2.4,POD7:2.6±2.3,POD14:1.3±1.7,POD21:0.5±0.8であった.排便時VAS(POD1),手術時間,出血量,切除個数と腫脹の有無には有意な関連はなかった.【結語】脱出性内痔核に対するALTA 併用CLDH法による術後の腫脹と疼痛は許容範囲であり,治療の選択肢の一つになりうる.