講演情報
[PD5-4]pT1大腸癌内視鏡治療後の追加外科切除症例の検討
前橋 学1, 諏訪 雄亮1, 森 康一1, 太田 絵美3, 中川 和也2, 小澤 真由美2, 諏訪 宏和3, 沼田 正勝1, 熊本 宜文1, 佐藤 勉1, 渡邉 純2,4, 遠藤 格2 (1.横浜市立大学附属市民総合医療センター消化器病センター, 2.横浜市立大学医学部消化器・腫瘍外科学, 3.横須賀共済病院外科, 4.関西医科大学下部消化管外科)
【目的】内視鏡的切除後に外科的切除を施行した大腸癌症例の治療成績を明らかにする.【方法】2008年から2024年の間,内視鏡的切除後にガイドラインに準拠し外科的切除を施行したpT1大腸癌症例525例を対象とし,臨床病理学的因子,周術期成績,リンパ節転移率,長期成績について検討した.また臨床病理学的因子に対して単変量および多変量解析を行い,リンパ節転移の危険因子を抽出した.【結果】平均年齢64.1歳,男性281例,女性244例.腫瘍占拠部位は結腸353例(C/A/T/D/S/RS:20/57/34/17/176/49),直腸166例(Ra/Rb:53/113).追加切除適応因子は(重複あり),SM浸潤1000μm以上269例,脈管侵襲陽性179例,深部断端陽性43例,低分化癌9例,蔟出Grade2/3以上41例であった.手術は開腹/腹腔鏡/ロボット:16/390/98例で,中枢郭清度はD1/D2/D3:13/174/332例,Diverting stomaは99例で造設された.術後在院日数は平均9日(3-135日),Clavien-Dindo III以上の合併症は25例で縫合不全15例(2.9%),腸閉塞6例(1.1%)であった.組織学的リンパ節転移を64例(12.2%)に認め,因子別リンパ節転移率(重複あり)はSM浸潤1000μm以上10.0%(27/269),脈管侵襲陽性17.9%(32/179),深部断端陽性14.0%(6/43),低分化癌11.1%(1/9),蔟出2/3以上12.2%(5/41)であった.SM浸潤のみで手術を施行した症例ではSM浸潤距離1000~1500μmで2.5%(3/120),1500μm以上で3.3%(4/120)でリンパ節転移陽性であった.リンパ節転移の有無における単変量解析の結果,静脈侵襲あり(p=0.008),腫瘍局在で直腸(p=0.04)で有意差を認めたが,多変量解析では有意差を認めなかった.術後33例に補助化学療法がおこなわれ,観察期間中央値は59か月(1-137か月),8例で再発を認めた.術後3年以上経過した360例中,他病死の9例を除く345例が無再発生存中であった.【結語】pT1大腸癌内視鏡治療後の追加外科切除症例の周術期成績・予後は良好であり,ガイドラインに準拠した追加切除は妥当であった.