講演情報
[P8-1-4]当科における3人法での2チームTaTMEの成績
丸山 哲郎, 栃木 透, 平田 篤史, 岡田 晃一郎, 大平 学, 丸山 通広, 松原 久裕 (千葉大学病院食道胃腸外科)
【背景】当科ではTaTMEを2018年に導入した.当初よりTaTMEのメリットである確実な遠位側断端の確保,良好な視野でのTMEの実施,手術時間の短縮などのメリットを享受することができた.しかし腹腔鏡+TaTMEを2チームで行う場合は合計で5名の外科医が必要であること,モニターやその他多数の機材により術者やカメラ助手に多大な身体的・精神的負担がかかるなど問題点も明らかとなった.そこで当科では2022年10月より腹腔チームはダヴィンチXiⓇを使用し術者と助手の2人とし,肛門操作チームはロックアームとリトラクターを使用してカメラとGelPOINTⓇ Pathを固定することで術者1人としている.【目的】当科で行っている3人法2チームTaTMEの治療成績を検討する.【対象と方法】TaTME導入時に行っていた1チームTaTMEを除き,2019年2月から2024年3月までの期間に2チームでTaTMEを行った37例のうち5人法21例と3人法16例を後方視的に検討した.【結果】両群の患者背景に有意差はなく,直腸が骨盤から遊離するまでの時間は5人法118分,3人法116分,出血量は両群で少量であり差はみられなかった.縫合不全は5人法が4例,3人法は1例で有意に3人法で減少していた.排尿障害,尿道損傷はいずれの群でも認めなかった.また,3人法に特異的な合併症は皆無であった.【考察】3人法2チームTaTMEは5人法と比較し人件費を削減しつつ同様の成績と安全性で実施できていることが明らかとなった.縫合不全の減少についてはTaTMEの手技が安定してきたことに起因すると思われる.肛門チームのカメラ操作は細かな視野変更が不要であるため,ロックアームの把持にすることで助手が持つよりも視野が安定し,術者のストレスも減少した.TaTMEの指導を行う際も指導医がフリーハンドで指示を出すことが可能となり,教育の質も向上したと考える.しかしながら,3人法は肛門操作の機器のセッティングに細かな工夫を要すること,術野のオリエンテーションが分からなくなった際に相談する相手がいないなど,初心者への導入には課題もある.【結語】当科で行っている3人法2チームTaTMEは有用であると考えるが,普及のためにはまだ課題も残っている.