講演情報
[P13-2-2]上行結腸原発mixed neuroendocrine-non-neuroendocrine neoplasmの1例
川上 雅代, 上里 安範, 仕垣 幸太郎, 澤岻 安勝, 高江洲 亨, 萩池 昌信, 稲嶺 進 (大浜第一病院外科)
<はじめに>摘出標本の病理組織所見にて診断され,急速な転帰をとった上行結腸原発mixed neuroendocrine-non-neuroendocrine neoplasm(MiNEN)の1例を経験したので報告する.
<症例>80歳の男性.腹痛と嘔吐を主訴に近医を受診.下部消化管内視鏡検査にて上行結腸に全周性のtype2病変を認め,生検結果は高分化腺癌であった.腹部造影CTでは上行結腸に造影効果を伴う不整な壁肥厚および周囲リンパ節腫大を認めた.肝両葉に不整な低吸収腫瘤を多数認め,肝転移を疑った.原発巣による閉塞症状を解除する目的で腹腔鏡補助下結腸右半切除術を施行した.摘出標本の病理組織学的検査所見では,高分化管状腺癌と,未分化小型円形細胞がシート状に胞巣を形成して増殖する部分が混在していた.深部へは後者の進展が主体で,脂肪織内のリンパ節転移様の結節はリンパ節の性状は特定できず,小型円形細胞の増殖であった.免疫染色を行うと,後者はsynaptophysin, insulinoma-associated protein1とCD56に陽性であり,神経内分泌腫瘍と判定した.腺癌が40%程度,神経内分泌腫瘍が60%程度を占めており,MiNENと診断した.術後プラチナ系製剤を併用した化学療法を予定したが,本人が民間療法を強く希望され無治療経過観察となった.1か月後に腹部膨満と下腿浮腫を主訴に再診された.腹部造影CTでは肝転移巣が著明に増大,下大静脈を圧迫していた.本人は民間療法の継続を希望され,術後2か月で現病死した.
<おわりに>2019年のWHO分類にて非神経内分泌腫瘍と神経内分泌腫瘍が混在し,それぞれが30%以上を占める腫瘍はMiNENと定義された.それぞれの分化度に規定はないが,ほとんどのMiNENはNET G3あるいはNEC成分を有し,悪性度が高いことが報告されている.しかし,神経内分泌腫瘍成分は腫瘍深層部に存在することが多く,本症例のように手術前には通常の腺癌と診断されることが少なくない.大腸原発のMiNENは稀であり,症例を蓄積し検討していく必要があると考え,若干の文献的考察を加えて報告する.
<症例>80歳の男性.腹痛と嘔吐を主訴に近医を受診.下部消化管内視鏡検査にて上行結腸に全周性のtype2病変を認め,生検結果は高分化腺癌であった.腹部造影CTでは上行結腸に造影効果を伴う不整な壁肥厚および周囲リンパ節腫大を認めた.肝両葉に不整な低吸収腫瘤を多数認め,肝転移を疑った.原発巣による閉塞症状を解除する目的で腹腔鏡補助下結腸右半切除術を施行した.摘出標本の病理組織学的検査所見では,高分化管状腺癌と,未分化小型円形細胞がシート状に胞巣を形成して増殖する部分が混在していた.深部へは後者の進展が主体で,脂肪織内のリンパ節転移様の結節はリンパ節の性状は特定できず,小型円形細胞の増殖であった.免疫染色を行うと,後者はsynaptophysin, insulinoma-associated protein1とCD56に陽性であり,神経内分泌腫瘍と判定した.腺癌が40%程度,神経内分泌腫瘍が60%程度を占めており,MiNENと診断した.術後プラチナ系製剤を併用した化学療法を予定したが,本人が民間療法を強く希望され無治療経過観察となった.1か月後に腹部膨満と下腿浮腫を主訴に再診された.腹部造影CTでは肝転移巣が著明に増大,下大静脈を圧迫していた.本人は民間療法の継続を希望され,術後2か月で現病死した.
<おわりに>2019年のWHO分類にて非神経内分泌腫瘍と神経内分泌腫瘍が混在し,それぞれが30%以上を占める腫瘍はMiNENと定義された.それぞれの分化度に規定はないが,ほとんどのMiNENはNET G3あるいはNEC成分を有し,悪性度が高いことが報告されている.しかし,神経内分泌腫瘍成分は腫瘍深層部に存在することが多く,本症例のように手術前には通常の腺癌と診断されることが少なくない.大腸原発のMiNENは稀であり,症例を蓄積し検討していく必要があると考え,若干の文献的考察を加えて報告する.