講演情報

[P17-1-5]Pembrolizumab投与にてConversion surgeryをしえた切除不能結腸癌の1例

千野 慎一郎1, 惠木 浩之1, 丸山 正裕1, 太田 凌1, 藤尾 俊允1, 中馬 基博1, 近藤 康史1, 海津 貴史1, 近藤 泰人2, 内藤 剛3 (1.北里大学メディカルセンター外科, 2.北里大学メディカルセンター呼吸器外科, 3.北里大学下部消化管外科学)
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症例は60歳代の男性.右大腿痛,股関節痛を主訴に受診された.大腸内視鏡検査,CTにて右尿管浸潤,水腎症,右腸腰筋浸潤を伴う切除不能上行結腸癌(cT4bN0M0)と診断し,化学療法の方針となった.遺伝子検査にてMSI-H,RAS:mutant,HER2:negativeの結果を認めた.一次治療にPembrolizumab(200mg/body,tri-weekly)を選択した.計12コース施行し,その間有害事象は認めなかった.腫瘍マーカーの陰性化(CEA:7350 → 1.1 ng/ml)及び画像上腫瘍の縮小に伴う尿管浸潤,腸腰筋浸潤の改善を認めたため,Conversion surgeryを施行した.手術は開腹にて結腸右半切除術を施行した.その際,尿管や腸腰筋等の他臓器合併切除は必要としなかった.病理結果組織学検査では,高~中分化腺癌に加えて,低分化腺癌及び印環細胞癌の成分や,粘液癌も認めた.一部残存したviableな細胞が粘膜下層・固有筋層への浸潤が見られたものの,漿膜下層・漿膜面に露出する面はnon-viableな組織が拡がっていた.静脈浸潤は認められたが,リンパ管浸潤,リンパ節転移は認めなかった(ypT2,ypN0,Ly0,V1a).治療効果はGrade 2であった.術後は大きな合併症なく退院となった.KEYNOTE-177試験にてMSI-Hの切除不能大腸癌に対する一次治療としてのPembrolizumabの高い有効性が示され,ガイドラインにおいても一時治療開始前にRAS/BRAFと並びMSI検査を行うことが記載されている.高い効果が期待できる反面,大腸癌における適応が限られる事もあり,Pembrolizumab投与後のConversion surgeryに関する報告はまだ少ない.Pembrolizumab投与で奏功し,Conversion surgery施行しえた症例を経験したので報告する.