講演情報
[P20-1-1]ハルトマンリバーサルにおける単孔式腹腔鏡下手術の経験
美濃地 貴之, 小西 健, 福本 結子, 村西 耕太郎, 西垣 貴彦, 畠野 尚典, 新井 勲, 杉本 圭司, 松下 一行, 中口 和則, 土居 貞幸 (川西市立総合医療センター外科)
[目的/方法]
下部消化管穿孔や高度腹膜炎併存例など,縫合不全のリスクが高い場合にはハルトマン手術が選択される.全身状態の改善を図った後に人工肛門閉鎖と腸管吻合再建を行うハルトマンリバーサル(Hartmann's reversal)が検討されるが,腹腔内の癒着剥離に難渋する症例や肛門側腸管の同定+授動が困難である症例が多く,周術期合併症が多いことも報告されている.また近年Hartmann's reversalに関する腹腔鏡下手術が報告されているが,単孔式の腹腔鏡手術については報告が少ない.
今回,ハルトマン手術後のストマ孔を利用した単孔式腹腔鏡下人工肛門閉鎖術を行い,良好な成績を得られた2症例を経験したので手術手技を含め報告する.手技は下記の通りとしている.
1.S状結腸人工肛門の挙上腸管を腹壁から遊離し腹腔内へ環納する.
2.創縁にEzアクセス(八光)を装着し,5mmポート×3本を用いて口側,肛門側の腸管の癒着剥離,授動操作を行う.
3.気腹操作を終了し,授動した腸管に対して直視下に吻合操作を行い,創部は腹直筋の前哨,後鞘の2層で閉鎖し皮下は巾着縫合を行い終了とする.
[症例1]
80歳代,男性.憩室炎穿孔に対して腹腔鏡下S状結腸切除術,人工肛門造設術後.
初回手術から122日経過後に単孔式腹腔鏡下人工肛門閉鎖術を施行した.吻合はステープラーを用いた側々吻合を行った.
手術時間は159分,出血は少量.術後合併症を認めず,第8病日に退院した.
[症例2]
60歳代,女性.卵巣摘出術後の遅発性結腸穿孔に対してS状結腸切除,人工肛門造設術後.
初回手術から201日経過後に単孔式腹腔鏡下人工肛門閉鎖術を施行した.吻合は手縫いの側々吻合を行った.
手術時間は207分,出血は130ml.術後合併症を認めず,第14病日に退院した.
[結語]
Hartmann's reversalに関する単孔式腹腔鏡下手術の2例を報告した.
単孔式手術は創の減少の観点から清容面に優れる可能性があり,今回報告した肛門側腸管が比較的残っていると考えられる症例では有用な選択肢になりうると考えられる.更なる症例の集積や適応の選択が必要である.
下部消化管穿孔や高度腹膜炎併存例など,縫合不全のリスクが高い場合にはハルトマン手術が選択される.全身状態の改善を図った後に人工肛門閉鎖と腸管吻合再建を行うハルトマンリバーサル(Hartmann's reversal)が検討されるが,腹腔内の癒着剥離に難渋する症例や肛門側腸管の同定+授動が困難である症例が多く,周術期合併症が多いことも報告されている.また近年Hartmann's reversalに関する腹腔鏡下手術が報告されているが,単孔式の腹腔鏡手術については報告が少ない.
今回,ハルトマン手術後のストマ孔を利用した単孔式腹腔鏡下人工肛門閉鎖術を行い,良好な成績を得られた2症例を経験したので手術手技を含め報告する.手技は下記の通りとしている.
1.S状結腸人工肛門の挙上腸管を腹壁から遊離し腹腔内へ環納する.
2.創縁にEzアクセス(八光)を装着し,5mmポート×3本を用いて口側,肛門側の腸管の癒着剥離,授動操作を行う.
3.気腹操作を終了し,授動した腸管に対して直視下に吻合操作を行い,創部は腹直筋の前哨,後鞘の2層で閉鎖し皮下は巾着縫合を行い終了とする.
[症例1]
80歳代,男性.憩室炎穿孔に対して腹腔鏡下S状結腸切除術,人工肛門造設術後.
初回手術から122日経過後に単孔式腹腔鏡下人工肛門閉鎖術を施行した.吻合はステープラーを用いた側々吻合を行った.
手術時間は159分,出血は少量.術後合併症を認めず,第8病日に退院した.
[症例2]
60歳代,女性.卵巣摘出術後の遅発性結腸穿孔に対してS状結腸切除,人工肛門造設術後.
初回手術から201日経過後に単孔式腹腔鏡下人工肛門閉鎖術を施行した.吻合は手縫いの側々吻合を行った.
手術時間は207分,出血は130ml.術後合併症を認めず,第14病日に退院した.
[結語]
Hartmann's reversalに関する単孔式腹腔鏡下手術の2例を報告した.
単孔式手術は創の減少の観点から清容面に優れる可能性があり,今回報告した肛門側腸管が比較的残っていると考えられる症例では有用な選択肢になりうると考えられる.更なる症例の集積や適応の選択が必要である.