講演情報
[P6-2-1]カペシタビンの副作用により白質脳症を発症した1例
水野 翔大1, 浅田 祐介1,2, 中山 史崇1, 竹ノ谷 隆1, 尾戸 一平1, 中村 哲也1, 大住 幸司1, 亀山 哲章1 (1.荻窪病院外科, 2.帝京大学医学部外科学講座)
症例は78歳女性.2年前に閉塞を有するS状結腸癌に対してステント留置後に腹腔鏡下高前方切除術+回腸双孔式人工肛門造設術を施行した.病理組織学検査の結果,pT4aN3M0,pStageIIIcであった.術後は人工肛門周囲蜂窩織炎を発症したものの,第34病日に退院となった.本人,及びご家族の強い希望もあり,術後補助化学療法は施行しない方針となり,厳重フォローアップの方針となった.術後3カ月後の胸部~骨盤部造影CT検査では明らかな再発所見を認めなかったが,術後6カ月後のCT検査にて腹膜播種を疑う所見が散見された.なお,その間に腫瘍マーカーの有意な上昇は認めなかった.一時的回腸双孔式人工肛門を閉鎖する際に審査腹腔鏡を行い,腹膜播種を探索する方針となった.審査腹腔鏡の結果,中腹部~上腹部腹壁にかけて多数の白色結節を認め,P3の所見であった.病理組織学的検査の結果,腹膜播種再発として矛盾しない所見であり,化学療法開始の方針となった.なお,RAS,BRAF変異なく,MSI陰性であった.
年齢や本人のADLからVulnerableな患者として,Cape + BEVを開始した.3カ月おきにCT検査を行い,SD~PRが継続していた.14コース目施行開始後に体動困難にて救急搬送された.脳転移を第一に疑い,頭部CT,および頭部MRI検査を施行した.結果,脳転移を疑う所見に乏しく,左側優位,前頭葉を中心に広範囲に白質病変を認め,白質脳症の所見を認めた.原因としてはカペシタビンによる副作用が第一に考えられた.
カペシタビンの副作用による白質脳症と考え,入院の上でカペシタビンの休薬,および脳浮腫改善目的にステロイドの投与を開始した.ステロイド投与後5日程度経過したところで,本人の症状は著明に改善し,意識清明,歩行も可能な状態となった.
カペシタビンの副作用により発症した白質脳症の報告は国内でも10件もなく非常にまれな副作用であることが分かる.多くの場合,本症例のように体動困難や構音障害など脳神経学的異常を主訴に来院,ないし救急搬送される.また薬剤の中止により症状は改善し,可逆的である.
カペシタビンの副作用により白質脳症を発症した1例を経験したので,若干の文献的考察を交えながら報告する.
年齢や本人のADLからVulnerableな患者として,Cape + BEVを開始した.3カ月おきにCT検査を行い,SD~PRが継続していた.14コース目施行開始後に体動困難にて救急搬送された.脳転移を第一に疑い,頭部CT,および頭部MRI検査を施行した.結果,脳転移を疑う所見に乏しく,左側優位,前頭葉を中心に広範囲に白質病変を認め,白質脳症の所見を認めた.原因としてはカペシタビンによる副作用が第一に考えられた.
カペシタビンの副作用による白質脳症と考え,入院の上でカペシタビンの休薬,および脳浮腫改善目的にステロイドの投与を開始した.ステロイド投与後5日程度経過したところで,本人の症状は著明に改善し,意識清明,歩行も可能な状態となった.
カペシタビンの副作用により発症した白質脳症の報告は国内でも10件もなく非常にまれな副作用であることが分かる.多くの場合,本症例のように体動困難や構音障害など脳神経学的異常を主訴に来院,ないし救急搬送される.また薬剤の中止により症状は改善し,可逆的である.
カペシタビンの副作用により白質脳症を発症した1例を経験したので,若干の文献的考察を交えながら報告する.