講演情報

[P21-1-6]3年間の化学療法後にconversion surgeryを行った多発肝肺転移を伴った骨形成性直腸癌の一例

加藤 俊一郎, 三浦 富之, 田澤 美也子, 海藤 章郎, 梅林 佑弥, 石井 武, 八木 宏平, 坂野 正佳, 楠 尚裕, 榎本 馨, 柳澤 拓, 山田 圭寛, 伊東 浩次 (総合病院土浦協同病院消化器外科)
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【はじめに】conversion surgery(以下,CS)とは初回診断時に根治切除不能と診断され,非手術療法を施行後にR0切除可能と判断された場合に限定して施行される外科的切除のことである.今回我々は初回に多発肝肺転移・lt283のリンパ節転移を認め根治切除不能と診断された骨形成性直腸癌に対し3年間の化学療法の後にCSとしてR0切除した一例を経験したので報告する.【症例】症例は63歳男性.体重減少と下血を主訴にX年,当科受診.精査を行い直腸癌,Rb,Lt,type2,50mm,tub1,cT3N3M1b(PUL1,H3),cStage IVb,RAS/BRAF wild,MSSの診断,肝転移や側方リンパ節転移に骨化が見られていた.根治切除不能の診断,消化器内科で化学療法の方針.FOLFOX+PANI 54コース(9コース目以降はOXなし),FOLFIRI+BEV 22コース施行し,肺転移の消失,肝転移の減少ありCS目的にX+3年2か月に当科再紹介.再精査を行いycT3N3M1a(H1),ycStage IVaと診断.ほとんどの肝転移,リンパ節転移は縮小し骨化を伴い,CEA 718.9→12.4,CA19-9 87→6と改善を認めた.CS可能と判断し切除の方針.X+3年4か月にロボット支援下低位前方切除術 D3LD1(rt-0/lt-2),左閉鎖神経合併切除,一時的回腸双孔式人工肛門造設術,X年+3年6か月に腹腔鏡下肝S3亜区域切除,S8部分切除2か所施行.病理結果はypT2N3M1a(H1),ypStage IVa,Therapeutic effect Grade 2で,リンパ節転移は251,lt283に1つずつありいずれもリンパ節内部1mmほどにviableな腫瘍を認めた.術後CEA 6.2と依然高値であり消化器内科と協議しFTD/TPIを開始した.術後3か月経った現在,CEAは正常化し明らかな再発も認めていない.【考察】骨形成性大腸癌の頻度は0.4%と報告され稀である.骨形成性大腸癌は低悪性な癌とされる一方,3割近くがcStage IVであるとも報告されている.今症例でも初回診断時にPUL1,H3を伴うcStage IVであったが,化学療法の忍容性が高かったこともあり,3年間に2次治療までの化療を70コース以上施行でき,肺転移の消失,肝転移の消失と縮小を認め最終的にCSとしてR0切除を施行できた.【結語】多発肝肺転移を伴った骨形成性直腸癌に対し3年間の化学療法後CSを行った一例を経験したので文献的考察を加え報告する.