講演情報
[SR6-1]当科における閉塞性大腸癌に対する治療成績の検討
川口 雄太, 井上 悠介, 三好 敬之, 足立 利幸, 小坂 太一郎, 久芳 さやか, 曽山 明彦, 足立 智彦, 小林 和真, 金高 賢悟, 江口 晋 (長崎大学大学院移植・消化器外科)
【背景】
閉塞性大腸癌に対して安全な外科手術を行うため,術前処置が必要になることもあるが,その方法に明確な基準はない.
【目的】
閉塞性大腸癌に対する術前処置の有用性を明らかにすること.
【対象と方法】
2013年~2022年に当科で腫瘍切除を行った閉塞性大腸癌症例(245例)を対象とし,閉塞に対する術前処置を行わなかった非介入群(162例)と術前処置を行った介入群(83例)に分け後方視的検討を行った.
【結果】
介入群の術前処置内容は人工肛門造設術40例(48%),ステント31例(37%),イレウス管6例(7%),経肛門イレウス管6例(7%)であった.年齢,性別に差はなく,c Stage(I/II/III/IV)は非介入群(2/47/94/19),介入群(0/24/36/23)で介入群においてc StageIIIが有意に少なく(p<0.05),c StageIVが有意に多かった(p<0.01).c T(1/2/3/4)に関して非介入群(0/3/78/81),介入群(0/1/24/58)で介入群においてc T3が有意に少なく(p<0.01),c T4が有意に多かった(p<0.01).腫瘍部位,腫瘍マーカー(CEA,CA19-9)に差はなかった.R0手術,郭清度,アプローチ,開腹移行,緊急手術,出血量に差はなく,手術時間はS状結腸切除術で介入群が276(221-396)分と有意に長かった(p<0.05).術後合併症,術後在院日数,在院死亡率に差はなかった.StageII,IIIにおける術後補助化学療法施行率に関して非介入群:57例(43%),介入群:32例(56%)で介入群が高い傾向にあり,Stage別で見るとStageIIにおいて非介入群:14例(27%),介入群:14例(56%)であり介入群で有意に高かった(p<0.01).5年無再発生存率は(非介入群:介入群=69.2%:62.2%),5年全生存率は(非介入群:介入群=71.1%:81.8%)で差はなく,Stage別でも差は認めなかった.
【考察】
介入群では病期進行により閉塞や腸管拡張が強く,術前処置が必要であったと考えられた.そのため介入群において手術時間の延長を認めたが,術後経過に差はなく,術後化学療法を適切に施行されており長期予後も非介入群と同等であった.
【結語】
術前処置を要した閉塞性大腸癌は非介入群と比較して病期の進行を認めたが,術前処置により治療成績,長期予後は同等であった.
閉塞性大腸癌に対して安全な外科手術を行うため,術前処置が必要になることもあるが,その方法に明確な基準はない.
【目的】
閉塞性大腸癌に対する術前処置の有用性を明らかにすること.
【対象と方法】
2013年~2022年に当科で腫瘍切除を行った閉塞性大腸癌症例(245例)を対象とし,閉塞に対する術前処置を行わなかった非介入群(162例)と術前処置を行った介入群(83例)に分け後方視的検討を行った.
【結果】
介入群の術前処置内容は人工肛門造設術40例(48%),ステント31例(37%),イレウス管6例(7%),経肛門イレウス管6例(7%)であった.年齢,性別に差はなく,c Stage(I/II/III/IV)は非介入群(2/47/94/19),介入群(0/24/36/23)で介入群においてc StageIIIが有意に少なく(p<0.05),c StageIVが有意に多かった(p<0.01).c T(1/2/3/4)に関して非介入群(0/3/78/81),介入群(0/1/24/58)で介入群においてc T3が有意に少なく(p<0.01),c T4が有意に多かった(p<0.01).腫瘍部位,腫瘍マーカー(CEA,CA19-9)に差はなかった.R0手術,郭清度,アプローチ,開腹移行,緊急手術,出血量に差はなく,手術時間はS状結腸切除術で介入群が276(221-396)分と有意に長かった(p<0.05).術後合併症,術後在院日数,在院死亡率に差はなかった.StageII,IIIにおける術後補助化学療法施行率に関して非介入群:57例(43%),介入群:32例(56%)で介入群が高い傾向にあり,Stage別で見るとStageIIにおいて非介入群:14例(27%),介入群:14例(56%)であり介入群で有意に高かった(p<0.01).5年無再発生存率は(非介入群:介入群=69.2%:62.2%),5年全生存率は(非介入群:介入群=71.1%:81.8%)で差はなく,Stage別でも差は認めなかった.
【考察】
介入群では病期進行により閉塞や腸管拡張が強く,術前処置が必要であったと考えられた.そのため介入群において手術時間の延長を認めたが,術後経過に差はなく,術後化学療法を適切に施行されており長期予後も非介入群と同等であった.
【結語】
術前処置を要した閉塞性大腸癌は非介入群と比較して病期の進行を認めたが,術前処置により治療成績,長期予後は同等であった.