講演情報

[O17-8]悪性消化管閉塞患者に対する緩和的人工肛門造設後の予後規定因子の解析

後藤 麻佑, 長嶋 康雄, 三浦 康之, 鏡 哲, 鈴木 孝之, 金子 奉暁, 牛込 充則, 栗原 聰元, 船橋 公彦 (東邦大学医療センター大森病院消化器外科)
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【目的】癌の進展に伴う悪性消化管閉塞(MBO)の発生は患者のQOLを大きく障害する.癌の再発に伴うMBOに対しての症状緩和の方法の一つとして緩和的人工肛門造設術(palliative stoma:PS)がある.しかしながら,再発癌患者に対するPSは重篤な合併症の発生や手術関連死のリスクが高く,これらの発生は患者のQOLの低下や余命を却って短くする可能性がある.今回我々はMBOに対するPS後の予後規定因子の解析を後方視的に行った.
【方法】2005年1月~2021年12月の間に当科でMBOが原因でPSを施行した104例を対象とした.アウトカムを術後90日以内の死亡として,説明変数として年齢,性別,ASA-PS,modified frailty index(mFI-5,-11),低Alb血症の有無,PNI(cut-off:40),mGPS(0 vs.1-2),CONUT,予定手術/緊急手術,開腹手術/腹腔鏡手術,術後合併症(C-D 0-2 vs 3以上)として多変量解析を用いて,p<0.05の場合に有意差ありとした.本研究は東邦大学医療センター大森病院倫理委員会の承認を得て実施した(M23011).
【結果】生存期間:中央値189日(12-2906),性別:男性56,女性48,ASA-PS:0-2;87,3-5;17,mFI-5:中央値1(0-4),mFI-11:中央値1(0-9),Alb:中央値2.9g/dL(0.9-4.4),PNI:≦40;75,>40;29,mGPS:0;14,1-2;90,CONUT:0-4;37,5-12;67,予定手術/緊急手術:予定48,緊急56,開腹手術/腹腔鏡手術:開腹78,腹腔鏡26.C-D分類grade3以上の合併症は20/104(19.2%).多変量解析の結果,C-D分類のGrade3以上が予後規定因子(p=0.006)であった.
【結語】MBOに対するPSにおいて,術後の重篤な合併症が術後90日の死亡に有意に関与していた.