講演情報

[VPD4-3]Day surgeryによるDelorme手術

小原 誠 (OHARA MAKOTO消化器・肛門外科クリニック)
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【目的】
 Day surgeryによる完全直腸脱に対するDelorme手術の可能性と再発要因を検討する.
 【対象と概要】
 2022年3月~2024年4月にて当院にて施行したDelorme手術22例(男性:女性 2例:20例),年齢39歳~92歳(平均75.1歳),直腸脱に対する既存手術歴:有:無 10例:12例,脱出腸管長1cm~6cm(平均3.0cm),剥離粘膜長4cm~22cm(平均15.1cm),麻酔法:腰椎麻酔19例 静脈麻酔+局所麻酔3例,手術時間70~172分(平均99.7分),手術体位J-K
 術後経口摂取 術当日から制限なし8例,術当日のみ飲水及び成分栄養剤11例,2日間1例,6日間1例,7日間1例
 【結果】
 [術後CRP値]術後3日目をピークに漸減し約1週間にて正常化.
 [主な合併症]縫合不全1例(外来にて保存的に改善)
 [術前後のMRP,MSP値]有意の変化なし
 [Wexner score]術後3~6ヶ月にて改善あり
 [再発率]5例(22.7%)2例は腹腔鏡手術,3例はThiersch法にてrepair.
 [再発と剥離粘膜長との関係]有意差はないものの10cm以上で再発が少ない傾向
 [再発と脱出腸管長]5cm以上で有意に再発が多い
 [再発と剥離粘膜長/脱出腸管長]4以上で有意に再発が少ない
 [再発と術前MRP値]10mmHg以下で再発が多い
 [再発と術前MSP値]有意な関係は認められない
 [再発と既往歴の有無]既往歴があると再発率が高い傾向
 [術前後でのCTC所見]施行できた1例で腸管の短縮が認められた.
 【まとめ】完全直腸脱に対しDay surgeryによるDelorme手術を22例に行なった.概ね大きな合併症なく施行が可能であった.術前後のCTC所見より腸管の短縮効果が認められた.術後はWexner scoreから判断し,排便障害の改善に寄与する可能性が示唆された.再発要因としては脱出腸管長5cm以上,剥離粘膜長10cm未満,剥離粘膜長/脱出腸管長比率4未満,術前MRP値10mmHg未満が再発しやすい要因と考えられた.今後さらなる症例の積み重ねでDay surgeryによるDelorme手術の適応を確立することと,適応をはずれた症例に対するDay surgeryによるAltemeier手術を検討している.