講演情報

[VWS1-5]手術難易度の高い痔核に対するALTA併用療法(E3・A)の手技

小原 誠 (OHARA MAKOTO消化器・肛門外科クリニック)
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ここでは難易度の高い巨大痔核,全周性痔核に対する痔核手術法として,E3・Aの手技について解説する.
 まず切除を行う肛門管外及び管内外痔核は,その隆起の大きさと形状に応じ,切除した後,皮膚肛門上皮が欠損のない平坦な状態に収まることをイメージし,切除ラインを描く.皮膚や肛門上皮の余剰は肛門管外と管内では違いがあるため,肛門管外はやや太く,管内はやや細くなることが多い.いずれにしても余剰な部分が多いと皮垂形成や隆起の残存に繋がるし,とりすぎると狭窄の原因になるので,切除ラインの設定は重要である.この切除ラインが的確に設定されていると,仕上がりは綺麗になり,何箇所切除しようとも,狭窄を起こすことはない.また全周性痔核の場合は切除ラインの外側周囲にも外痔核組織がつながっているため,そこを剪除及びundermineする必要がある.
 歯状線を超えた後も中枢への剥離を進め,併存する血栓組織,器質化したポリープがあれば,それらを含め切除する.この際末梢の痔核組織をペアン鉗子にて把持しているため,予期せぬ出血があってもコントロール下に置くことができる.この場合先に,3-0吸収糸にて縫合止血することもある.
 ヘルマン線付近にて中枢をペアン鉗子で把持し,3-0絹糸にて結紮切除する.この際,把持する痔核組織がen blocになりすぎないように注意する.また3-0絹糸にて結紮した部位が脱落しないように,3-0吸収糸にて近傍に貫通結紮を何針か追加しておく.
 切除創両縁の皮膚肛門上皮を適度な緊張を保ち固定させるため,中枢側と両側創縁皮膚に3-0吸収糸をかけ,吊り込み操作を行う.この際左右の組織にずれが生じないように注意する.こうした処置を3,7,11時の主痔核に行い,余剰な隆起や痔核が残存しているようであれば,適宜,同様の処置を追加する.
 これらの操作が完了したのち,Z式肛門鏡を挿入し,残存した内痔核組織に,ALTA注を行う.基本的には4段階注射法に則った方法で行われるが,第4段階である歯状線付近への注入は,組織が摘除されているため,省くことができる.
 こうした手術手技を痔核モデルを使った解説を交え,実際の手術ビデオを供覧する.