講演情報

[SR4-3]一般病院での直腸癌に対するロボット手術導入の治療成績

藤井 正一, 五十嵐 優人, 村田 宇謙, 数納 祐馬, 田中 茉里子, 藤原 典子, 下山 ライ, 川原 敏晴, 山上 裕樹 (湘南鎌倉総合病院外科)
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【背景】直腸癌に対するロボット支援下手術(RAS)は2018年に保険収載されて以降,がん専門施設や大学病院以外の一般臨床病院でも広く行われるようになった.当院は年間救急車応需数が26000台以上で緊急手術症例が多く,地域医療を担う一般病院である.
 【目的】一般病院における直腸癌に対するRAS導入1年間の治療成績を検討する.
 【方法】2023年3月にRASを導入し,当初から直腸癌だけでなく結腸癌にも適応とした.RASの術者は内視鏡外科技術認定医に固定し,院内の新規手術手技導入における規約に則り初回から10例目までは日本内視鏡外科学会認定のプロクター指導下に施行した.2023年3月~2024年4月の直腸癌に対するRASと腹腔鏡手術(LAC)の短期成績を比較した.
 【結果】LAC31例,RAS25例で両群の患者背景に差を認めなかった.病変の占拠部位に差なく術式にも差を認めなかった.側方郭清はLAC3例,RAS0例であったが有意差なし.短期成績(LAC:RAS)は手術時間(280:302分),出血量(25:30ml)でRASに多い傾向であるが差はなかった.RASのコンソール時間は170分(79-349)で,1~10例目は197分,11~20例目は154分,21~25例目は152分で短縮傾向であった.中枢D3は96.8:88.0%,郭清リンパ節個数16:12個,開腹移行は両群1例(3.2:4.0%)で差を認めなかった.RAS4例目で術中右尿管損傷を認めた.術後合併症は全Grade(25.8:24.0%),≧GradeII(22.6:24.0%),≧GradeIIIb(6.5:4.0%)で差なく,合併症個々にも差を認めなかった.術後在院(12:11日)に差を認めなかった.
 【結語】直腸癌に対するRAS導入早期の治療成績は同時期のLACと同等で概ね安全に導入されていた.コンソール時間の短縮傾向から経験によりさらに安定した治療成績が期待できると思われる.