講演情報
[R15-4]直腸肛門内圧検査における排出力の評価についての検討
神山 剛一1,2,3, 寺田 俊明1, 田中 良明1, 最上 恭二1, 武田 崇志1, 小川 祐太郎1, 中村 浩1, 山田 麻子2, 佐藤 兼俊3 (1.寺田病院, 2.アイビー胃腸肛門クリニック, 3.浅草胃腸肛門クリニック)
はじめに
便通異常症診療ガイドラインにおいて,慢性便秘症の適切な治療を行う上で,排便協調運動障害などの直腸肛門機能の関与を認識することの重要性が指摘されている.ローマ基準でも直腸肛門機能障害は便を押し出す排出力不足(F3a)と排出時の肛門の弛緩不全を伴う協調障害(F3b)に大別されている.しかしながら排出障害の評価法については一定の見解は得られていない.近年本邦でも導入が進むHigh resolution manometry(以下HRM)では,排出圧検査による排出力の評価が可能である.当院では,これまで報告してきたように,排便造影における排出前後の擬似便減少率を排出力の指標として用いている.今回,HRMと排便造影における排出力の関連について比較し,排便障害に対する機能検査の有用性を検討した.
対象と方法
対象は2022年10月よりHRMおよび排便造影を行った排便障害患者70名で,前者の排出圧検査の各項目と排便造影の擬似便排出率に加え,当院で従来施行されていた直腸内バルーンによる怒責時直腸圧変化との相関を検討した.
結果
安静時から怒責時の直腸内圧上昇分を測定したところ,直腸内バルーン法とHRM法で統計的に有意な相関が見られた(p=0.00000153,r=0.549).排出力の指標と考えられるHRM法の排出時直腸肛門圧差と排便造影の排出率も統計的有意な相関が得られた(p=0.00000589,r=0.522).
結語
HRMは本法でも比較的広く導入されており,排出力評価の結果を慢性便秘症の治療指針に活用することにより,より有効性が高くなる可能性がある.今後は低排出力や協調障害の定量化を行うことで,検査結果をどのように臨床に反映させるかが課題となる.
便通異常症診療ガイドラインにおいて,慢性便秘症の適切な治療を行う上で,排便協調運動障害などの直腸肛門機能の関与を認識することの重要性が指摘されている.ローマ基準でも直腸肛門機能障害は便を押し出す排出力不足(F3a)と排出時の肛門の弛緩不全を伴う協調障害(F3b)に大別されている.しかしながら排出障害の評価法については一定の見解は得られていない.近年本邦でも導入が進むHigh resolution manometry(以下HRM)では,排出圧検査による排出力の評価が可能である.当院では,これまで報告してきたように,排便造影における排出前後の擬似便減少率を排出力の指標として用いている.今回,HRMと排便造影における排出力の関連について比較し,排便障害に対する機能検査の有用性を検討した.
対象と方法
対象は2022年10月よりHRMおよび排便造影を行った排便障害患者70名で,前者の排出圧検査の各項目と排便造影の擬似便排出率に加え,当院で従来施行されていた直腸内バルーンによる怒責時直腸圧変化との相関を検討した.
結果
安静時から怒責時の直腸内圧上昇分を測定したところ,直腸内バルーン法とHRM法で統計的に有意な相関が見られた(p=0.00000153,r=0.549).排出力の指標と考えられるHRM法の排出時直腸肛門圧差と排便造影の排出率も統計的有意な相関が得られた(p=0.00000589,r=0.522).
結語
HRMは本法でも比較的広く導入されており,排出力評価の結果を慢性便秘症の治療指針に活用することにより,より有効性が高くなる可能性がある.今後は低排出力や協調障害の定量化を行うことで,検査結果をどのように臨床に反映させるかが課題となる.