講演情報

[O6-1]腹腔鏡下大腸切除術における体腔内腸管切離法による体腔外機能的端々吻合の検討

内藤 正規1,2, 根岸 宏行1,2, 勝又 健太1,2, 臼井 創大1,2, 天野 優希1,2, 増田 哲之1,2, 澤田 真裕1,2, 中野 浩1, 大坪 毅人2 (1.聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院消化器・一般外科, 2.聖マリアンナ医科大学消化器・一般外科)
PDFダウンロードPDFダウンロード
【はじめに】結腸癌に対する腹腔鏡下大腸切除術では,腸管の授動が広範囲に行うことができる腹腔鏡下手術の利点を活かして,消化管吻合は体腔外で行われることが多い.しかし,体腔外に消化管を引き出す際の過度な牽引による血管損傷や,肥満症例における切開創の延長など,侵襲が増す危険性もある.近年,これらの欠点を補う工夫として,体腔内での消化管吻合の有用性に関する報告が増えているが,腹腔内での消化管開放に伴う汚染などが懸念される.
 【目的・対象】2023年以降に当院で行っている体腔内腸管切離法による体腔外機能的端々吻合を施行した右側大腸癌症例10例を対象として,本法の有用性につき周術期の短期成績を詳細に検討した.
 【結果】手術手技は,腸管を剥離・授動して,腸間膜を処理後に自動縫合器で腸管を体腔内で切離した.切離腸管を体腔外に吊り上げてclosed法で機能的端々吻合を行った.男性3例,女性7例であり,平均年齢は73.0±12.1歳であった.結腸右半切除術が6例,回盲部切除術が4例であった.体腔内での腸管の切離は,肛門側のみ行った症例が6例に対して,両側が4例であった.手術時間は156.3±35.4分であり,出血量は6.5±4.7mlであった.創長は36.0±10.5mmであり,切離断端までの距離は近位側が109.3±72.6mmであり,遠位側が77.5±36.5mmであった.
 【結語】本法は,複雑な手技をすることなく,体腔内汚染の懸念がない吻合法であるとともに,整容性も十分に保てる手技であることが示された.